株式会社ジョリーグッドが、帝人ファーマ株式会社と共同開発を進めている「うつ病患者に対するVR」を活用した認知行動療法のフィジビリティ試験を、国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター(NCNP)との共同で開始することを発表しています。
VRを活用した認知行動療法を特定臨床研究として実施するのは、本研究が初めての事例になるということです。
うつ病向けデジタル治療VRの特定臨床研究を開始
今回ジョリーグッドらが開始する臨床研究は、同社と帝人ファーマが共同開発した「うつ病向けデジタル治療VR(CBT-VR・未承認)」を活用して行われます。
ここでは、対面で実施される認知行動療法(CBT)の一部をVRで代替することによって、その治療効果を有しながら医療従事者の介在時間を短縮することが可能かどうか、またその安全性について検証がされていきます。
このCBT-VRは、うつ病に対する治療を目的としており、医療従事者の時間的負荷をVRで軽減することで、CBTによるうつ病治療の機会拡充と患者利益の向上が期待されています。
フィジビリティ試験で有効性と安全性を検討
今回の研究は、
・単施設で実施する治療介入の単群
・前後比較試験
で構成されており、スクリーニング検査により適格性を満たしたうつ病患者に対し、原則週1回の外来にて16セッションのCBT-VRが実施されます。
ベースライン・8セッション終了時・16セッション終了または治療中止時の検査と、各セッション時の検査・診療に要する時間の計測、患者質問票の3つによるCBT-VRの実行可能性が評価されていき、また16セッション終了後または介入中止以降の追跡期間である6か月間は、希望する被験者に対してCBT-VRの使用が継続され、3か月および6か月の追跡評価が実施されます。
なお、この研究での対象者は、18歳以上65歳以下の大うつ病性障害と診断され、薬物療法では改善しないか薬物療法が適さない患者とされており、本研究が公表された今年11月~2024年9月が研究期間になっています。
うつ病向けデジタル治療VR(CBT-VR)とは
今回その有用性が検証される「CBT-VR」は、うつ病に対するCBTの支援を目的に開発が進められている未承認の医療機器プログラムで、現在は薬事承認を目指して開発が進められています。
・心理教育
・目標設定
・行動活性
・問題解決
・認知再構成
・再発予防
といったCBTの一連の流れをVRで体感しながら技法を学ぶことで、感情喚起や認知の偏りの修正をサポートし、患者のQOLが向上することを目指しています。
2025年以降には最終的な治験へ
ジョリーグッドと帝人ファーマは今後、今回の臨床試験の結果を受けて、2025年以降にはCBT-VRの最終的な有効性や安全性を確認する治験を開始し、薬事承認を目指していくとしています。
まとめ
ジョリーグッドと帝人ファーマが、うつ病向けデジタル治療VRの特定臨床研究開始を発表しています。
研究は、国立精神・神経医療研究センターと共同で実施され、その有用性と安全性で薬事承認を目指していきます。
その研究結果に、医療業界の注目が集まりそうですね。
ソース:プレスリリース[@Press]
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