Lenovoが『場所を問わない新しい働き方を実現』するために開発された最新ARスマートグラス「ThinkReaity A3」。
2021年1月に開催されたCES2021で発表されて以来、注目を集めていました。
1年経った2022年に大きな期待の中での登場となった「Think Reality A3」についてまとめました。
Think Reality A3とは?
「Think Reality A3」は、Lenovo社が2022年4月にリリースしたARスマートグラスです。
法人向けに開発されたARグラスで、製造業や建設業、各種サービス業での活用が想定されています。
そのため、長くかけ続けても疲れにくいメガネ型で軽量、コンパクトなデザインとなっているのが特徴です。
コンパクトな本体には、
・AR/VRデバイス用に作られたQualcomm Snapdragon XR1
・片眼1080pの高解像度ディスプレイ
・トラッキング用の魚眼カメラ(左右)
・8MPカメラ
などリモートワークや場所に制約されない作業支援を実現するための機能が詰め込まれています。
6DoFトラッキングに対応し、ルームトラッキングもできるため、高品質なAR体験ができるのもメリットです。
また、接続する端末に応じて
「Industrial Edition」(専用Android端末に接続)
「PC Edition」(PCに接続)
の2つのエディションがあります。
Think Reality A3で出来ること
Think Reality A3の2つのエディションによって異なるユースケースが想定されたものです。
そこでそれぞれがどのようなことができるかを見ていきましょう。
3DCGの投影と操作(「Industrial Edition」の場合)
Think Reality A3のIndustrial Editionは、あらゆる業務の現場に持ち込んで利用するために開発されたエディションです。
専用のAndroidスマホ「motorola edge30 PRO」と接続することで、現実世界の景色の中に3DCGのオブジェクトを投影し、操作できます。
「motorola edge30 PRO」は大容量・高速通信を可能にする5Gに対応しており、
・作業者の視線を共有しての遠隔支援
・ARデジタル作業マニュアルを使った作業手順支援
・ARを活用した業務トレーニング・研修
・設計データを立体表示し3Dによる視覚化
などでARを活用することが可能です。
複雑な作業をしていてもハンズフリーでARを活用できるため、特に製造業や流通、土木建築など各種分野での活用が期待されています。
バーチャルモニターの表示(「PC Edition」の場合)
Think Reality A3本体をPCに接続する「PC Edition」では、バーチャルモニターを最大で5台同時にディスプレイに表示することができます。
例えば、資料を確認しながら遠隔地にいる同僚や顧客とビデオ通話をしたり、メールのチェックをすることが可能です。
バーチャルモニターによりスペースの制限がなくなるので、デスクが小さかったりオフィスが狭くてもマルチモニターによる広い画面領域で業務を行うことができるようになります。
また、メガネ型ディスプレイの特性として周囲の人に画面をのぞき込まれる心配もなくなるため、秘匿性の高いデータを扱う業務でも役に立ちます。
通常のオフィスワークはもちろん、マルチモニターでチャートなど複数の情報のチェックを同時に行う金融関係の業務での活用が期待されているようです。
XRのバーチャルモニターというと、これまでもMetaが提供するHorizon WorkroomsなどVR空間を利用したものがいくつかあります。
ただ、手元のキーボードやマウスの動きがわかりづらいVRゴーグルの場合と異なり、Think Reality A3では手元の様子を確認しながらのスムーズな作業が可能です。
Think Reality A3を利用するには?
Think Reality A3は法人向けにビジネス用としてリリースされたものです。
ただし、エディションごとに取り扱いに違いがあります。
「Industrial Edition」が完全に法人向けなのに対し、「PC Edition」は個人でも購入可能です。
いずれにしても販売代理店への問い合わせが必要となります。
>>「Think Reality A3」を取り扱う株式会社アスクへの問い合わせ専用ページ
ちなみに、「PC Edition」は楽天やYahoo!ショッピングなどのネット通販でも取り扱っているショップがありますが、公式の販売店ではない場合もあるので注意が必要です。
Industrial Editionで必要なもの
「Industrial Edition」では専用のAndroidスマホ「motorola edge30 PRO」を利用します。
同スマホは高品質なAR体験を実現するために、SoCにQualcomm Snapdragon 8 Gen 1 オクタコアプロセッサーを搭載し、5Gにも対応しているのが特徴です。
なお、「Industrial Edition」では、業務現場でThink Reality A3を利用するために必要な
・Androidスマートフォン「motorola edge30 PRO」
・アタッチメントパーツの「Industrial Kit、Industrial Frame」
・「ThinkReality Cloud Portal」(ソフトウェアソリューション)
・「holo one sphere」(ソフトウェアソリューション)
・オンラインサポートの「Lenovo Integrated Solution Support」(LISS)
の一式がセットになって提供されます。
PC Editionに必要なもの
複数のモニターを同時に表示するためには、Think Reality A3に接続するPCには、NVIDIA製のグラフィックボード(グラボ)を搭載したハイエンドな性能が要求されます。
モニターを5台表示する際の推奨環境は以下の通りです。
CPU:Intel core i5以上
グラボ:NVIDIA Quadro
3台表示する際にも上記ほどとはいかないまでも、
CPU:第10世代 Intel core i5以上 / AMD Ryzen 7 Pro以上
と比較的高い性能のPCが必要になります。
また、バーチャルモニターを設定・操作するためのVirtual Display Manager(仮想ディスプレイマネージャー)は、Think Realityのサポートサイトから無償でダウンロード可能です。
このツールではバーチャルモニターのサイズ、配置、距離、角度、明るさを直感的に自由に調整できます。
Think Reality A3の概要
・CPU:Qualcomm Snapdragon XR1
・解像度:片眼1080p
・カメラ:8MPカメラ
・リフレッシュレート:60Hz
・動画撮影性能:1080p / 30fpsの動画撮影が可能
・オーディオ:ステレオスピーカー、3つのマイクを搭載
・トラッキング:6DOF対応、ルームサイズの位置トラッキング
・センサー:デュアル魚眼カメラ
・重量:約130g(折りたたみ可能)
・耐環境:IP54準拠の防水・防塵性能
・耐衝撃:米国規格ANSI Z87.1適合の安全性
・価格
Industrial Edition:544,500円(税込)
PC Edition:192,500円(税込)
まとめ
Lenovoの最新ARスマートグラス「Think Reality A3」では、高品質なAR体験ができるデバイスです。
接続するデバイスごとに
・Industrial Edition
・PC Edition
とに分かれており、それぞれ異なる用途で活躍します。
基本的にどちらのバージョンも法人向けですが、バーチャルマルチモニターを利用できるPC Editionは個人向け販売も取り扱っています。
VRゴーグルと比べるとARグラスは一般消費者向けのモデルが少ないのが現状です。
Think Reality A3をきっかけに個人でも利用できるようなARグラスがもっと登場してくれることに期待したいですね。
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