中国のIT大手バイトダンス社は、スペインのバルセロナで開催されたMWC 2022でXR向けSoCで知られるクアルコム社と提携することを発表しました。
両社は今回の提携を通じてXR領域分野での開発を進めていくとのことです。
Picoを擁するバイトダンス社とクアルコム社が提携
今回発表された提携ではバイトダンス社とXRハードウェア、ソフトウェア、開発者ツール、さらにはメタバース開発について協力することが明かされています。
そのため、クアルコム社が特に注目しているのが2021年8月にバイトダンス社が買収したVRヘッドセットのメーカー企業Pico Interactive社です。
バイトダンス社のCEOであるRubo Liang氏によると、Picoが新たに開発するデバイスにはクアルコムの開発者プラットフォーム「Snapdragon Spaces XR」が採用されることになります。
「Snapdragon Spaces XR」によってクリエイターにARグラス用の3Dアプリケーションを作る環境を提供できるようになるとのことです。
メタバースの「覇権」をめぐる競争が激化?
クアルコム社はすでにMeta社とXR領域で強固な提携を行ってきました。
実際、MWCにおけるクアルコムの基調講演では、クアルコム社製のSnapdragonnapdragon XR2プロセッサを搭載したQuest2の大ヒットにより大きく躍進したことが明らかにされています。
とはいえ、「メタバースの案内役」を目指すというクアルコム社は複数のXR企業と提携しており、XR領域でのパートナーをMetaに限定することはしないようです。
今回提携が発表されたバイトダンス社のPicoは現在のところ中国国外ではほぼ完全にエンタープライズVRに特化しています。
そのため、クアルコム社の人気製品Snapdragon XR2を搭載したスタンドアロンVRゴーグルPico Neo 3 ProをリリースしてもMeta社と競合することはありませんでした。
しかし、バイトダンス社はビデオSNSだけでなく、Picoの買収を通じてXR領域、特にメタバース分野への進出に乗り出しています。
今後、「メタバース企業」としてMeta社と激しい競争を繰り広げることになるとみられます。
まとめ
TikTokの親会社であるバイトダンス社がクアルコム社と提携を発表しました。
バイトダンス社とPicoによるメタバース分野での展開が大きく進むものと思われます。
大規模なメタバース開発に関しては米国Meta社が一歩先を進んでいる状況でしたが、バイトダンス社は強力なライバルとなり得ます。
そのため、メタバース分野での勢力図に大きな影響を与えることになるかもしれません。
その一方で、クアルコム社にとってはバイトダンス社が中国での展開の大きな足がかりとなります。
米中の両方で半導体のシェアを握ることになれば、XRに限らずさまざまな分野でクアルコム社の存在感が大きくなっていくのではないでしょうか。
参考:TikTok Parent ByteDance Partners with Qualcomm on XR Hardware and Software[Road to VR]
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