株式会社GATARIは2021年10月25日(月)、空間ビジネスのDXを展開するために鹿島建設株式会社の協力の下、同社が保有する3次元建物データを用いて大型複合施設「HANEDA INNOVATION CITY(HICity)」にて提供する新たなサービスを開発したことを発表しました。
その取り組みとして同社では、HICityのBIMデータを基に構築したデジタル空間と、スマホカメラから取得した竣工済みの建物のスキャンデータを合わせた「デジタルツイン」に、音声や3Dデータを保存・運用して一般ユーザーが現地体験できる「HICity AR」アプリを提供しています。
デジタルツインを利用した「HICity AR」提供へ
「HICity AR」は、昨年・2020年9月から提供されている、iOS・iPad向けの”HANEDA INNOVATION CITY(HICity)”公式アプリで、日本の伝統文化と先端技術が混ざり合う館内で、
・エンタメ
・インフラ
・ビジネス
など、目的に合わせたコンテンツを楽しむことができます。
具体的にはHICityでのイベントなどに連動したMRコンテンツの提供や館内ARナビゲーション機能が提供されており、2022年度に開業予定施設の実寸大AR表示もされています。
HICityのDX化
今回の開発では、HICityにおける空間ビジネスのDX推進を目的としてこの「HICity AR」が発表されており、HICity来場者の利便性向上や関連事業者の業務効率化、法令規制の少ないデジタル空間における利活用可能な空間の拡張と収益の拡大が、鹿島建設の保有する3次元データを基にGATARI社が持つMR技術を活用して進めてられていきます。
本アプリはVPS技術を活用し、2つのデータ座標系を照合させた「デジタルテナント」を新たに作り出すことによって、一般ユーザーにもソフトウェアにも使いやすいサービスが提供されている一方で、今回のアプリではスマホのカメラで取得した特徴点ベースのスキャンデータとHICityの設計時に作成されたBIMデータを、MRサービスを提供するゲームエンジンに対応させるためにポリゴンベースに変換したスキャンデータが利用されていることが特徴になっています。
3つの機能が公開中
GATARI社では、既に来場者の目的に合わせた3つの機能を公開しており、2020年9月にはARやMRに馴染みがない来場者でも楽しめるように、期間限定の特別展示のための解説音声ガイドコンテンツを提供しているほか、より生活の中で先端技術を利用するイメージが持てるように2021年3月には施設内を案内するARナビゲーションシステムを実装。
同年7月には、不動産事業者やデベロッパーが不動産の賃貸業務時に建築予定の施設をARで表示して案内できる機能が公開されています。
空間のデータ化を推進することによって、エンタメ・インフラ・ビジネスなど多様な領域の情報をデジタル空間に配置・保存することが可能になり、ユーザー自身が必要な時に、また必要な情報のみにアクセスすることができるようになってアクセシビリティの向上に寄与します。
さらなるDX化を目指して
今後GATARI社では、HICity内のスペースを所有する事業者に対してデジタルツインを活用したイベントや設備更新・メンテナンス・モニタリングの空間ビジネスのDXを推進していき、鹿島建設との協力の下、さらにBIMデータとの連携を強化することで建設事業における全体プロセスのDXに取り組んでいき、デモンストレーションとしてではなくソリューションとしてのMRサービス提供を目指していくとしています。
まとめ
MR企業のGATARI社らが今回、大型複合施設「HANEDA INNOVATION CITY」のDX化を進めるサービスを開発。
その中でGATARI社は、デジタル空間とスマホカメラから取得した竣工済みの建物のスキャンデータを合わせた「デジタルツイン」に、音声や3Dデータを活用して現地体験できる「HICity AR」アプリを提供しています。
これらは現実空間を仮想上に再現するデジタルツインを商業施設に常設導入して来場者へ展開する国内初の事例となっており、空間ビジネスのDXを推進することで来場者の利便性と事業者の効率性向上を図っていきます。
さらなる取り組みが予定されているということで、今後の情報にも注目が集まりそうです。
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