2021年8月後半ごろからソーシャルビデオプラットフォーム「TikTok」の親会社ByteDanceが中国のVRメーカーPico Interactiveを買収するという情報がVR業界を駆け巡りました。
8月末になってByteDance社はCNBCをはじめとするメディアに噂が正しいことを認め、ハードウェアメーカーを買収することでVR業界に参入することを公式に明らかにしました。
ByteDanceが買収したPicoとは
中国を拠点とするPico Interactiveは世界最大のVRヘッドセットメーカーの1つとして日本でも有名です。
現在ラインナップされている最新のNeo 3ヘッドセット(Neo 3 Pro、Neo 3 Eye)は、
・QualcommのSnapdragon XR2プロセッサ
・インサイドアウトトラッキング
・6DoFコントローラー
を備えたフラッグシップスタンドアロンデバイスであり、Neo 3Eyeには組み込みのアイトラッキングも備わっています。
Neo 3シリーズのいずれのモデルも中国では消費者向け製品として販売されていますが、日本やその他の国ではエンタープライズ専用デバイスとして販売されています。
そのため、消費者向けモデルを中心としているFacebookのOculusQuestプラットフォームとの直接の競合は回避されてきました。
関連記事:中国発の高機能法人用VRデバイス「pico neo 3 pro」が7月下旬に日本上陸へ!
買収によりPicoのマーケティング戦略に変化は?
ByteDanceが今回の買収劇で支払った金額の詳細は公式には明らかにされていませんが、50億元(約850億円)程度という報道がされています。
ByteDanceは他の製品との関連でこの投資をどのように活用するのかを明らかにしていませんが、VR市場へのかなりの投資になるのは間違いありません。
VR業界が注目しているのが、今回のByteDanceの買収によりPicoのビジネスモデルが変化していく可能性です。
これまでPicoはOculusとの競合を避けてきましたが、ByteDanceの下で方針転換して消費者向け市場でぶつかり合うこともありえます。
ByteDance社は今年3月にも、世界的に高い人気のマルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ(MOBA)「モバイル・レジェンド」で知られるゲームスタジオ Moontonを買収を行いました。
巨大なゲームスタジオとソーシャルネットワークを擁する親会社のバックアップで、より強力になった消費者向けプラットフォームをPicoが手に入れることになると指摘する声もあるようです。
まとめ
「TikTok」のByteDanceがVRハードメーカーPicoを買収したことを明らかにしました。
今回の買収劇は人気SNSが技術に定評があるVRメーカーを傘下に収めたという点で、FacebookのOculus買収と類似する点があります。
PicoとByteDanceが拠点を置く中国の市場規模を考えるとさらに大きいインパクトをVR業界に与えることになるのではないでしょうか。
TikTokは米国や日本をはじめ世界でも人気が高いことから、今後Picoが中国以外の一般消費者に向けて猛烈なマーケティング攻勢を仕掛けてOculusの牙城を崩しにかかることも十分に考えられます。
今後VR市場の覇権をかけた競争のきっかけになるのではないか、非常に注目のニュースです。
参考:Pico Interactive Acquired By TikTok Owner ByteDance[VR Focus]
Copyright ©2021 VR Inside All Rights Reserved.