株式会社Synamonは三井住友海上火災保険株式会社と共同で、バーチャル空間に構築された自然被害を受けた家屋を用いて損害調査の研修ができる「VR自然災害損害調査研修」を開発した事を発表しました。
第一弾として、”地震被害”を受けた家屋の損害調査に関する研修が実施予定となっています。
「VR自然災害損害調査研修(地震家屋)」とは?
「VR自然災害損害調査研修」は、Synamon社と三井住友海上社が共同で開発した損害調査研修用のVRコンテンツで、研修の参加者は大規模な災害に備えた損害調査研修にいつでもどこからでも参加可能となります。
VR研修所には、地震で損害を受けた「家屋(平屋)」、「洋室」、「和室」が3Dモデルで配置されており、研修参加者はヘッドマウントディスプレイを着用し、アバターとなって集合します。
VRを活用した研修所なので、参加者は自身の職場や自宅から移動することなく研修に参加することが可能です。
研修では、実際の地震の立会調査の理解を深めるために
・平屋の外壁や屋根の損害確認
・和室・洋室の部位についての学習
・部位や損傷箇所の計測・撮影
などを学ぶことができます。
「VR自然災害損害調査研修」共同開発の背景
近年、地球温暖化による気候変動の影響などにより、台風や豪雨等、自然災害が頻発化・甚大化する傾向にあります。
2018年度と2019年度には、損保業界全体での保険金支払額は1兆円を上回る規模となっており、首都直下地震や荒川氾濫といった大規模自然災害は、いつ起こってもおかしくない状況と言われています。
そのような大規模災害では、これまでにない多数の家屋の被害が想定されており、損保業界において、”損害調査体制のさらなる強化”は喫緊の課題となっている背景があります。
三井住友海上社は、地震保険や火災保険の支払いに必要な「風災・水災など自然災害に関わる損害調査」を迅速かつ適切に行えるよう社員向けの研修を実施してきました。
従来の研修は「座学研修」が主流であり、実地研修は座学研修よりも研修効果が高いことは認識しされていたものの、その実施には
・被災建物モデルの確保と維持が困難
・研修受講人数に限りがある
という二つの大きな課題が存在しています。
この課題を「自然災害で被災した家屋の損害調査ができるバーチャル空間を構築すること」で解決できないかと考えた三井住友海上社は、Synamon社が提供する「NEUTRANS」を活用し「VR自然災害損害調査研修」を共同開発するに至りました。
2021年6月より「VR自然災害損害調査研修」の共同開発に着手しており、7月から8月にかけて「VR自然災害損害調査研修」を実施する予定になっています。
「VR自然災害損害調査研修(地震家屋)」のメリット
座学研修以上の学習効果
「VR自然災害損害調査研修」では、
・損害のある家屋を間近で見ながらの損害確認や部位の学習
・VR空間上でのメジャーによる測量やカメラでの撮影
といった実際の調査に即した動作を体感することにより、従来の座学研修以上の学習効果が期待されます。
反復学習の実現
VRで研修を行うことで、突発的に起こる地震災害の損害調査に関し、”全国どこからでも”、”いつでも”予習・復習という反復学習をすることが可能となります。
研修時の移動時間・コスト削減
VR研修では、「移動時間」がかからないため、通費や宿泊費等の削減も期待できます。
まとめ
Synamon社と三井住友海上社は、大規模自然災害の発生を見据え、「自然災害で被災した家屋の損害調査ができるVR空間」である「VR自然災害損害調査研修」を共同開発したことを発表しました。
「VR自然災害損害調査研修」の第一弾として、2021年7月から8月にかけ「VR自然災害損害調査研修(地震家屋)」が実施されます。
自然災害の被災者にとって、保険金の迅速な給付は生活再建の命綱です。
VRを活用し様々なシチュエーションの災害に対応できる調査員を増やすことは、災害発生時の安心につながるニュースとなりそうですね。
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