Cellid株式会社は、三菱重工業株式会社が運営するYokohama Hardtech Hubにおける、工場およびプラントの保守点検へのAR技術応用の可能性に関する実証実験の委託を受け、成功裡に完了したことを発表しました。
Yokohama Hardtech Hubとは?
Yokohama Hardtech Hubは、三菱重工が運営する共創空間であり、所在地は神奈川県横浜市の本牧エリアです。
その設立理念は、「ハードテック(Hardtech)の革新的なアイデアの創出とその実現の為、共創を通じて新しい技術やビジネスが生まれる場(Hub)となること」となっており、現在では社会課題の解決を志すベンチャー企業等が入居しています。
AR技術を工場などの保守点検へ応用するための実証実験とは?
今回の実証実験は、AR技術を用いた保守点検サービスの開発を念頭に、その基礎技術としてのCellid SLAMの有効性を検証するために実施されたものです。
実験の目的
若手作業員の早期自走と、管理費や事故による損害抑制を目指すため、以下の2点に関し、実証実験が行われました。
1.ベテラン作業員と若⼿作業員の“動線データ”を⽐較し、その差を把握する
2.“AR付箋”による具体性の⾼い指⽰を活⽤し、保守担当者へ高度な遠隔支援を提供する
動線データについて
動線データとは、対象者にカメラを装着し、移動経路とカメラの向きなどを集約したデータのことを指しています。
AR付箋について
AR付箋とは、現実空間に注意事項や記録・指示などのデジタルデータを、空間に貼り付けたものを指しています。
実験結果の総括と今後の展望について
保守点検の一般的な課題とCellid SLAMが提供し得る解決策
工場やプラントの保守点検に関わる課題として、一般的に把握されている領域は
・ノウハウの伝承
・点検漏れ
・作業の効率化
の3点で、今回の実証実験を踏まえたそれぞれの領域についてのCellid SLAMが提供し得る解決策は、下記のとおりになっています。
・ベテラン点検員の動線データの可視化
・点検手順をデータから学ぶことでOJTの期間短縮
・AR付箋で点検細目を可視化
・AR付箋を点検対象に直接添付し点検の未了/完了を可視化
・AR付箋は大量のデータを保存可能
・AR付箋により各現場ごとの注意点を現場で確認可能
位置情報の取得におけるCellid SLAMの優位性
Cellid SLAMは既存技術と比較して、視認映像の保存や非GPS環境での3次元位置の把握などの点で顕著な優位性を有しており、視認映像の保存や非GPS環境での3次元位置の把握は、保守点検のユースケースにおいて重要な要素となっています。
今後の展望
Cellid社は、「様々な工場などにおいて同様のオペレーション高度化のためのデータ解析の実例を積み重ねる」「コミュニケーションの取りづらい海外工場における同様のオペレーション導入のための実証」といったことを、今後進めて行く予定としています。
まとめ
Cellid社は、三菱重工から委託を受け、同社が運営するYokohama Hardtech Hubの保守点検に関し、AR技術の応用可能性について実証実験を行いました。
その実証実験の結果から、AR技術の保守点検への導入には様々なメリットや可能性があることが示唆されています。
様々な分野で、ベテラン作業員が蓄積してきたノウハウの若手作業員への伝承は課題となっていると耳にします。
AR技術の活用によるノウハウのデータ化は、未来への伝承につながることが期待されますね。
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