マイクロソフトが、現実空間にあるオブジェクトをVRで表示可能なデジタルモデルに自動的に変換する技術の特許を米国特許商標庁に申請していたことが明らかになりました。
この技術により、実世界のオブジェクトの仮想表現を作成してVR空間にいながら物理的環境の認識ができるようになります。
現実世界の物理的障害物をVR空間に取り込む
ほとんどのVRヘッドセットには、
・バリア・ガーディアンシステム
・警告がポップアップ表示されるシステム
が、VRユーザーが壁や家具に体をぶつけないようにするために備えられています。
「VR環境への移行とHMDユーザーへの現実世界の物理的障害物の警告」というタイトルの特許申請もそうしたものの一つです。
この技術では、まず自分の環境を簡略化的に複製したものが仮想現実ディスプレイにレンダリングされます。
複製された環境は非表示になり、VR環境がその後加増現実ディスプレイにレンダリングされのが特徴です。
ヘッドセットのセンサーを使用して現実世界のオブジェクトを追跡し、近づきすぎた場合に仮想表現として実際にVR空間内に表示されます。
逆に、これまでの技術では対応が難しかった室内犬などが近づいてきた場合にも仮想空間の中に取り込むことができます。
現実環境の複製を作成するというシステムは、現実世界からVR世界への移行をスムーズにするという効果もあるとのことです。
狭小スペースでもVRが楽しめるようになる
画像:VR Scout
理論的には、この技術は限られたスペースを使わざるを得ないVRユーザーにとってゲームチェンジャーになる可能性があります。
小さなアパートであろうと雑然とした寝室であろうと、どんな場所でも周囲のオブジェクトによってユニークな仮想の運動場になる余地があるからです。
実際、Facebookも、OculusQuestヘッドセットに独自の形式の物体検出の実装をすでに開始しました。
最近のアップデートには、机やソファの検出などの新機能が含まれており、ユーザーはオブジェクトの実際の場所をマークして、VRで表示できる仮想表現を生成できます。
ただ、マイクロソフトの特許システムが実現できるのは、プレーヤーの安全性確保だけではありません。
没入感のレベルを向上させる自動オブジェクト検出システムを使って、仮想現実テクノロジーをさらに発展させることもできるとのことです。
まとめ
マイクロソフトによるVRの新しい特許申請の情報が明らかになりました。
この特許の注目すべき点の一つが、マイクロソフトには珍しくVRを強く志向している技術であることです。
そのため、最近はやや影が薄いWindows Mixed Realityが進化していくことが考えられます。
現実の世界の複製を一度作成して近づきすぎるVR空間に表示するとするという技術は、ユーザーの安全性を確保する点で非常に有利です。
しかし、現実世界のオブジェクトが突然仮想オブジェクトに配置されると、かえって気が散ってしまう可能性があります。
この技術が製品に実装されるかは明らかではありませんが、実用化するまでの課題と言えるかもしれません。
参考:Microsoft Files Patent To Bring Real-World Objects To VR[VR Scout]
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