HTC Vive、Oculus Rift、Oculus Goなど複数のVRデバイスが登場していますが、これらVRデバイスの売り上げが低下しているというデータが発表されました。
これによって「VRは沈滞している」という意見を一部メディアが報じていますが、これに対してHTCは公式ブログで反論
「VRはまだ始まったばかりで、これから成長していく」
と主張しています。
VRは衰退している?主要VRデバイスの売り上げが低下
海外テック系メディアのDigital Trendsは7月19日(木)
「VRは沈滞している」
という趣旨の記事を投稿。
これまでに発売されたVRデバイスの売り上げは軒並み低下しており、今日のVRデバイスはユーザーの期待に十分応えるものではない、という意見を述べています。
Digital Trendsが引用したデータは、ネットデータ企業Thinknumが発表したものですが、このデータでは現行の主要VRデバイスである
PSVR
HTC Vive
Gear VR
Oculus Go
のアマゾンでの売り上げデータをグラフ化したもので、グラフを見るとVRデバイスの売り上げが(少なくともAmazonでは)低下していることが伺えます。
PSVRの売上推移
上のグラフは、PSVRと「The Elder Scrolls V: Skyrim」の同梱版の売り上げを、2017年12月~2018年4月の期間にわたって示したものです。
2017年の発売時から売り上げは若干下降しますが、そこから再び回復。2018年2月にはアマゾンのゲーム売り上げランキング29位を獲得しています。
ですが、3月前にして売り上げは大きく下落、4月時点では100位という結果ですが、Amazonで販売されている全ゲーム中100位というのは悪い数字ではないようです。
HTC Viveの売上推移
また、HTC Viveの売り上げランキングを示したグラフは、2018年3月から6月までの期間を示しています。
HTC Viveは現在流通しているVRデバイスの中でも最も普及率の高いデバイス(詳細は下記にて)であり、約9万円という高額であるにもかかわらず、50位台にランクインしている時期も。
しかし、多少の乱降下はあるもののセールス的には下落し、6月時点では90位台になっています。
Gear VRの売上推移
スマートフォンを差し込んで手軽に使えるスマホVRとして2014年にデビューしたSamsung Gear VRは、最高時の2016年9月にはトップ10のベストセラー入りしました。
しかし、そこから売り上げは大きく落ち込み、70位~80位台に収まっています。
Oculus Goの売上推移
スマホや高性能PCを必要としない一体型VRデバイスOculus Goも、発売時の2018年5月にはアマゾンでトップ10にランクインするほどの売り上げを記録しましたが、そこから売り上げは徐々に下落、2018年7月時点では90位を下回っています。
VRは下火に?
Digital Trendsは上記のデータをもとに、現在のVRは沈滞していると結論づけています。
また、VRが登場した当時、最初は大きな衝撃を受けたものの、その衝撃は長く続かず、またコアなVRユーザーでもVRデバイスを装着するのは1日1時間程度が限度、と述べています。
下降を続けるVRデバイスの売り上げを回復するためには、HTCやOculusなどのVRハードウェア企業がより高性能なヘッドセットをリリースするか、もしくは価格を下げない限りVRデバイスの売り上げが回復するとは思えない、と結論付けています。
HTCが反論「VRはまだ始まったばかり」
Digital Trendsのこの記事に対して、HTCは公式ブログで反論、
「VRが沈滞していると結論付けるには更なる熟考が必要」
との意を述べています。
VRは改良が続けられており、HTC Vive Proなどの機能アップ版もリリースしている他、今後は周辺デバイスやヘッドセットのワイヤレス化なども進んでいくが、(Digital Trendsは)こうした改良や進化について触れていない、とも述べています。
また、ビジネス分野でもVR活用の取り組みが進んでおり、ロケーションベースのVRアトラクションやトレーニング施設などにもVRは普及が見込まれているが、こうした分野はAmazonなどの顧客売り上げデータには反映されにくく、こうしたビジネス分野での成長率についても(Digital Trendsは)言及していない、と主張しています。
HTC ViveがVRデバイス市場シェアトップに
HTC Viveの売り上げが急落した理由については「デバイスが売り切れたため」とのことであり、今後は生産量を増やして販売を継続し、オンライン、実店舗での販売を継続するとのことです。
HTCのブログでは
「デバイスの売り上げ数だけでなく、顧客やビジネスが時間をかけて成長する経路をきちんと確保することが重要」
と述べ、VR業界がまだ成長段階にあり、これからの伸びしろを考慮してVR業界を判断する必要性について述べています。
Vive、VRデバイスシェアの3分の1を占める
また、IT専門調査企業IDCのレポートを引用し、現行のVRデバイスのマーケットシェアを提示。HTC Viveは全体のうち35.7%と、約3分の1のシェアを占めていることにも言及しています。
「顧客(VRユーザー)がより多くのことをVRで出来るようになり、それによってVRコンテンツメーカーが利益を得ることができる」と述べており、VRがビジネスとして収益を得られる分野として成長を続けていることを示しています。
まとめ
現行のVRはまだ成長段階にあり、現在市販されているVRデバイスのみではVRが持つ価値を見誤りやすく、これからVRデバイスや市場がどう動くかを見据える必要がありますね。
現在のVRヘッドセットはまだ重く、セットアップも大変で、かつ高性能PCが必要になったり値段が高かったりと、改善すべき余地はたくさんあります。
ですが今後、より軽くて装着がしやすく、ワイヤレスで、かつ解像度の高い高性能なVRデバイスが登場するにつれ、現在の状況は大きく変わっていく可能性があります。
VRの今後の発展に期待したいですね。
【参考サイト】
Digital Trends
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