HTCは、VR空間内でアート作品を鑑賞できるプログラム「Vive Arts」を11月8日に発表した。
現在、世界中の複数の美術館において、HTCが主導するVRミュージアムが開催されている。ユーザーはHTC Viveを装着して、没入度の高いVR空間でアート鑑賞を行うことが可能だ。
「Vive Arts」プログラムについて
VRでアート鑑賞を可能にするプログラム
「Vive Arts」プログラムは、クリエイターのコンテンツ制作や、ミュージアムなどのアート関連の機関に対する支援を行なっている。複数のパートナーと提携しており、クリエイターのコンテンツ制作のサポートも行う予定だ。
世界各国の美術館で「VRミュージアム」を開催
「Vive Arts」が開催するVRミュージアムは、世界中の様々な美術館にて展開が行われている。
たとえばロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・アーツやタイの国立故宮博物院、フランスの国立自然史博物館、米国ワシントンD.C.のニュージアム、ロシア・サンクトペテルブルグのエルミタージュ美術館など、それぞれの美術館に応じた内容の展示をVR空間で鑑賞することができる。
また、「Vive Arts」はロンドンのテート・モダン美術館でのVRエキシビションを予定しており、イタリアの画家アメディオ・モディリアーニの作品をVR空間で鑑賞可能になるとのこと。11月23日からの開催を予定している。
VRでアーティストをエンパワーする取り組み
Vive Studiosの副社長であるJoel Breton氏は以下のように述べている。
Viveportにも特設コーナーを設置
「Vive Arts」プログラムは今後もアートやカルチャーに関連する機関に対して投資などによるサポートを行なっていく予定で、VRを活用した展示会も開催する予定だ。
また、HTC Viveコンテンツ配信プラットフォームであるViveportにも特設コーナーを設け、「Vive Arts」プログラムに属するVRアート作品を自宅にいながらVRで鑑賞することができるとのこと。
Viveportの特設コーナーは11月8日から始動しており、Breton氏によると、特設コーナーで体験可能なVRコンテンツは15〜20個程度で、2018年にかけてコンテンツ数を増やしていくとのことだ。
VR/ARでアート鑑賞・制作する取り組み
「Dali 17 –VR Museum Tours」
カリフォルニアの個人美術館であるDali 17は、20世紀のシュールレアリズムの画家サルバドール・ダリの作品を所蔵する個人美術館だ。同ギャラリーに展示されているダリの作品、そしてミュージアムの建物全体、そして周囲の風景までもが3Dデータ化され、VRで世界中のどこからでもアクセス可能にするアプリをリリースした。
VRアプリ「Dali 17 –VR Museum」では、ダリの代表作である「記憶の個室」や「The Elephants」などを含む280以上のダリ作品を鑑賞することができる。
本アプリでは、VRの特質を活かした鑑賞が可能となっており、たとえば展示物に触ったり、作品が動いたり、また作品の中に入り込んで、その中を自由に歩き回ることができる。また、それぞれの展示物に接近すると、その作品に関する説明が表示されるなど、新感覚のアート鑑賞が可能となっている。
これまでは現地に直接足を運ばないと鑑賞できなかった作品の数々を、VR空間内で実物大で鑑賞することができる。
参考:VRミュージアムでダリの世界に没入ー「Dali 17 –VR Museum Tours」
アート作品のリミックス
VRアートは、シンプルなツールを用いて誰にでも手軽に制作できるというメリットがある。制作した作品は投稿、シェアすることが可能で、様々な人々がアート制作を楽しむ環境が整っている。
Tilt Brushを用いて製作した作品を誰でも投稿、シェアできる「Tilt Brush Sketches」では興味深いルールのゲームが行われている。
それは他のアーティストが投稿した作品を、別のアーティストが改変して、不特定多数の人たちによって作品がリミックスされることによって、1つの作品がまったく別のそれに作り変わる、というものだ。
このゲームを通して、とあるクリエイターが製作したホットドッグのイラストが他の5人によってリミックスされた結果、ホットドッグが動物へ変わり、悪役が追加され、やがて善と悪との戦いというストーリー付きの作品に発展する様子を閲覧することができる。
参考:Tilt Brush SketchesでVRアート作品をリミックス
モバイルARでアート鑑賞
写真共有SNSのSnapchatは、ARを用いてアート作品を鑑賞できる「ARギャラリー」を展開している。ユーザーはスマートフォンのカメラを通して、ポップアーティストのJeff Koon氏の作品を実物大で鑑賞できる。
作品は一つの場所に据え置きして配置しているので、作品に近寄ったり、周りを歩き回ったり、どんな角度からでも鑑賞することができる。展示が行われている場所にユーザーが近づくと、アプリの機能が起動して、スマートフォンのカメラを通して作品がAR表示されるという仕組みだ。
SnapchatがモバイルARを用いてアート分野に参入するのはこれが初の取り組みとなる。しかし同社は今後もARを用いたアート展示を継続的に開催する予定とのことで、本プログラムに参加するアーティストを募集している。
参考:Snapchat、モバイルARでアート鑑賞するイベントを開催予定
参照元:VRScout Vive Arts Brings VR To Museums
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