VR/ARコンテンツの制作経験のない初心者でもVRコンテンツを制作できるプラットフォーム『Mirra』のベータ版が公開された。
本記事では実際に本サービスでVRコンテンツを制作するまでの流れを紹介する。
Mirraとは
『Mirra』はVR/ARコンテンツを手軽に制作できるウェブ上のツール。
VRやスマホゲームの主流であるUnityやUnreal Engineなどの専用ツールの知識を必要とせずに、独自のVR/ARコンテンツを手軽に制作することができるという。
Web上で作業が可能
シンプルな操作方法で、アプリをインストールせず、ウェブ上で作業を行うことができるのが最大の特徴。
操作方法は3Dモデルや画像や動画、360度動画をアップロードしてライブラリに追加、これらをドラッグ・アンド・ドロップでVR空間内に配置するだけ。
使用する3Dモデルや画像は自作コンテンツ以外にも、グーグルの3Dモデリングソフト『Blocks』で制作したものや共有サービス『Sketchfab』、ストックフォトサービス『Shutterstock』などからダウンロードしたものを使用可能。
制作したコンテンツはHTC Vive、Oculus RIft、Gear VR、Windows MR、ARKit、など、様々なプラットフォームから閲覧することが可能だ。
また、MacやWindows用のVRビューアも公式サイトからダウンロードでき、デスクトップからも閲覧できるようになっている。
Google Daydream、Samsung Gear VR、Microsoft Mixed Reality、Apple ARKitへの対応も予定しているとのことだ。
Mirraの使い方
まずはMirraの公式サイトにアクセス。メールアドレスと名前を登録してサインアップ(登録)することによってサービスが利用可能になる。日本語には対応していない。
画面右上のメニュー部から「New Project」を選択。
様々なシチュエーションの3D背景が用意されているので用途に応じてチョイス。
プロジェクトはシーンごとにソートが可能だが、現在は種類がさほど多くないようだ。
シーンを選んだら3DコンテンツをVR空間に配置する。
視覚的に理解しやすいユーザインタフェースとなっており、大雑把なマウスの作業だけで配置が可能だ。
3Dオブジェクトだけではなく、2D画像や動画ファイルもアップロードして利用できる。
また、「Market」からは様々な3Dオブジェクトや動画のテンプレートをダウンロードして自由に使える。現在公開されているオブジェクトについては無料で利用できるようだ。
Unityで作られている、スマートフォンのフリーゲームやVRコンテンツぽい雰囲気のVRコンテンツが簡単に作成が可能だ。もちろん制約はたくさんあるだろうが…。
3Dオブジェクトの配置は想像以上に直感的に行える。もちろん綿密に数字で座標を設定し位置を調整も可能。
500GBまで無料で利用可能
現在、公開されているベータ版『Mirra』は、画像などのオブジェクトを500メガバイトまで無料でアップロード可能となっている。
また、有料プランは、月額15ドルのベーシックプランから、月額50ドルのプレミアムプラン、100ドルでのビジネスプランが用意されている。
サーバーの容量がそれぞれ1GB、5GB、20GBとなっている他、メールでのサポートにも対応し、プレミアムプラン以降は専用アプリも用意されるという。
加えて、容量無制限や電話でのサポートにも対応する企業向けプランも用意されている。こちらの料金体系は明記されておらず、サイトから直接Mirraに連絡する必要がある。
まとめ
完成したコンテンツはHTC Vive、Oculus Riftなどで閲覧可能。また、専用アプリからPCで閲覧できる。ただ、使い心地はあまりよくなく、筆者のMacBook Air(Early 2014))では動作はまだカクつきが発生する。やはりVRコンテンツは、PCの要求されるスペックも高いということだろうか。
今まで、VR、AR、MRのコンテンツ開発には、プログラム知識と制作経験が必要だったはずだ。だがMirraを使えば、PCの知識や物理の知識、ましてプログラムのコードを書くスキルも必要なく(もちろん制約はあるだろうが)作業できるというのは大きなニュースだ。PhotoshopやIllustratorのスキルも(もちろん、あるに越したことはないだろうが)必要がない。これはすごい。
Appleが「GarageBand」をリリースした時、驚くほど音楽制作のハードルが敷居低くなったのを覚えている。VR開発も同様にMirraがこのまま発展してくれれば、「Minecraft」を楽しむ児童のように、いずれ簡単にVRコンテンツが作れてしまうのではないだろうか。
あるいは、iOSでリリースされたGarageBandがそうであるように、簡易的にでも、スマートフォン一台でVRコンテンツが制作できる時代も来るのかもしれない。そう遠くない未来に思いを馳せた。
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