サンフランシスコのスタートアップ企業Ryloが、手ブレ補正機能を搭載し、滑らかな動画撮影を可能にした、小型の360°カメラ「Rylo」を発売する。
Ryloが開発した、手ブレを抑えるソフトウェアにより、歩行中、走行中にカメラを持ちながら撮影する場合でも、安定して、きれいな映像を録画できるようになった。
また、カメラをスマートフォンに接続し、専用アプリを使用するだけで、高品質な動画編集機能も使用可能になる。さらに、アプリを通じてInstagramやFacebookなどのSNSへの動画シェアも簡単におこなえるようになるようだ。
現在、Ryloの公式Webサイトから499ドルで購入できる。
将来的にはAmazonでの販売開始も検討しているという。
Ryloについて
Ryloはカメラ製造や、カメラのソフトウェア開発を手がけている企業で、2015年に設立された。
創設メンバーはAppleやInstagramなどで数年間開発経験を積んだエンジニア達。Accel、Sequoia、SV Angelなど、既にいくつかの投資会社から資金を調達している。
同社の強みは、手ブレ補正を自動で実行する360°動画撮影用のソフトウェアと、撮影後にスムーズでスピーディーな編集を可能にするスマートフォン用のアプリケーションにある。
Ryloは、ソフト開発を通じて、誰もが容易に動画を撮影・編集・シェアできる環境を整備することを目指しているようだ。
Rylo共同創設者のひとりであり、現在同社COOを務めるChris Cunningham氏は、以下のように語っている。
「歴史的に見て、カメラ開発のイノベーションは、ハードウェアの進化に依存しています。しかし、未来のカメラのイノベーションは、ソフトウェアによって生じるのです。」
「カメラ用ソフトウェアの魅力的なところは、カメラのプロフェッショナルと一般の人々が撮影した際に生じる(実力の)ギャップを縮める点にあります。これが、われわれが、まずはじめにソフトウェアの開発を手がけ、その後にハードウェアをデザインした理由です。」
Cunningham氏の言葉の通り、今回発売されるRyloは、これまで開発してきたソフトウェアの性能が十分に発揮されるようにデザインされているようだ。
「Rylo」のパフォーマンスについて
広角レンズを2つ搭載した小型カメラ
Ryloは携帯性に優れた、小型の360°カメラだ。
ユーザーの周辺208°を撮影できる広角レンズが2つ搭載されている。魚眼レンズ上で生じがちな映像の歪みは、カメラのソフトが自動で補正してくれる。
撮影した動画は、2DのHD動画として保存することも、あるいは4Kの高解像度360°動画として保存することも可能だ。
Ryloの最大の特徴は、動作検出機能を360°動画の撮影機能と組み合わせることで、状況に応じ、最適な手ブレ補正を自動実行できるようにした点だ。
カメラのソフトウェアが、カメラ本体の振動によって生じた、映像のブレを排除し、スムーズな映像を作り上げる。これまでは高価で専門的な機材を導入しなければ実現が困難だったレベルのクオリティで、手ブレ補正がおこなえるようになるという。
高機能な編集機能も簡単に使用可能
Ryloの特徴は手ブレ補正だけではない。動画編集機能を容易に使える点も魅力的だ。
スマートフォンに専用アプリをインストールしておけば、Ryloを直接接続するだけで、すぐに編集機能を利用できるようになる。
使用可能な機能は、一般的なトリミング機能などにとどまらない。タップした動画内のオブジェクトの動作に自動で焦点を合わせる「フォロー機能」や、ユーザーの撮影時のリアクションを逃さず録画できる「フロントバック機能」、そして「タイムラプス機能」などが搭載されている。
従来は、動画編集をおこなうためには、PC上で編集用ソフトウェアを立ち上げ、じっくりと時間をとっておこなう必要があった。しかし、Ryloを使えば、これらの時間と手間を省くことができる。
現在、アプリはiOSを搭載したスマートフォンにのみ対応しているようだ。App Storeから無料でダウンロード可能だ。
なお、Androidで動作するアプリも開発中だという。
「手ブレを抑える」という強み
現在、360°カメラ市場には高価格帯のデバイスから低価格帯のデバイスまで様々な製品が出揃い、活況を呈している。
特に、一般消費者向けに開発された、低価格帯のカメラには、持ち運びの容易さや、スマートフォンとの連携を重視して開発されたプロダクトが多い。
今回紹介したRyloは、手に収まる小型サイズであることから、携帯性が良いことは言うまでもないが、さらに手ブレを抑えてなめらかな動画を撮影できる、という強みももっている。たとえば、山道など、足元がぐらつきやすい場所での動画撮影が、より簡単におこなえるようになるのではないだろうか。
Ryloが今後、どのように市場シェアを伸ばしていくのか、注目だ。
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