PSVR版が8月の末にリリースされたCCP Gamesの『Sparc』は、e-Sportsの種目としての意識が強いVRアクションゲームだ。CCP Gamesは当分の間VRゲームよりもパソコンやスマートフォンのゲームに力を入れていくという報道があったばかりの開発会社である。
だが、このゲームのPCベースVRヘッドセット対応は進められていたようだ。これまでPSVRでしかプレイできなかったSparcを、HTC ViveやOculus Riftを接続したパソコンでもプレイできるようになる。PSVRとのクロスプレイにも対応しているため、プラットフォームを選ばすVRゲームで世界の強豪と競い合うことが可能だ。
Sparc
e-Sports
娯楽としてのテレビゲームは気楽に遊べるカジュアルなタイトルが人気だが、中には高度な操作や素早い対応、熟考した上での選択がなければ勝てない高難易度のゲームもある。特に対人戦がメインのタイトルでは、高額な賞金が得られるゲームの世界大会が行われることもあるほどだ。
時間を潰すのに適したカジュアルゲームや運の要素が強いパーティゲームと異なり、実力がものを言う対人ゲームはe-Sportsと呼ばれることがある。道具や舞台がコンピュータとゲームであることを除けば、正確な動きを可能にする反復練習や人間同士の読み合いといった要素はスポーツと同様だ。
e-Sportsの種目となるタイトルはいくつかのジャンルに分けることができる。課金アイテムへの投資金額やこれまでのプレイ時間が結果を大きく左右するようなジャンルはe-Sportsに適さないため、中心となるのはMOBA、FPS、格闘、カードゲームといった作品だ。
これらのジャンルでは、プレイヤーが公平な(平等とは限らないが)条件で競い合うことが可能だ。キャラクターや装備に相性が存在するゲームでは、相手の編成を予想して役割分担や対策装備を行うのもゲームの一部である。
v-Sports
Sparcは、こうしたe-Sportsの発展系として「vSports」を自称しているタイトルだ。
VRヘッドセットを装着した2人のプレイヤーは、VR空間を舞台に全身を使って戦うことになる。内容は、現実のスポーツで言えばドッジボールに近いだろうか。
ボールを投げて相手を攻撃しつつ、相手のボールにも対処していかなくてはならない。対処法は腕に装備した盾で受け流すか、身体を動かして回避するかだ。
味方の居ないドッジボールというイメージだが、盾でボールを打ち合う展開になることもある。その場合は、テニスや卓球に近いかもしれない。
似ているスポーツはあるが、総合的にはVRならではの新しいスポーツである。
PSVR専用タイトルからマルチプラットフォームへ
PCベースVRへの対応
このvSportsタイトルSparcをプレイできるVRデバイスはPSVRのみという状況が続いていたのだが、11月16日にはHTC ViveとOculus Riftでもプレイが可能になるという。購入はSteamまたはOculus Store経由となる。
PCバージョンの価格は20ドル(2,280円)とされており、PSVRバージョンの29.99ドル(3,420円)に比べると1,000円ほど安い。
Road To VRの伝えたPC版の発売予定価格とPSVR版の価格に開きがあるため、PC版の発売に合わせてPSVR版が値下げされる、またはセールが行われることも考えられる。なお、現在日本のPlayStation StoreではSparcが販売されていない。29.99ドルは北米のPS Storeでの価格だ。
プラットフォームを跨いだ対戦
マルチプラットフォームに対応するゲームでも、対戦サーバが異なれば別プラットフォームでプレイするユーザとのマルチプレイはできない。PC版とPS4版などがあるゲームではサーバが分けられていることも多く、PC版だと過疎状態という例もある。
しかし、Sparcはクロスプレイに対応する。新たに発売されるPC版でHTC Vive/Oculus Riftを使うユーザとPSVRのユーザが対戦することも可能だ。これはオンラインでの対人戦をメインとするゲームにとっては重要な点である。
異なるデバイスを使う難しさ
クロスプレイができることは素晴らしいが、勝負の公平さを維持するのが難しいという欠点もある。
特にPSVRはトラッキング精度やトラッキング範囲の点でPCベースのVRヘッドセットに劣っている。PSカメラの映す範囲からコントローラーが出てしまったり、コントローラーがプレイヤーの陰に入ってしまうと、正しく位置を認識することができない。
CPUと対戦するモードではエイムアシストを追加して補うこともできるが、対人モードでPSVR版だけに強力なエイムアシストを付ければ不公平になってしまう。CCP Gamesは上手くデバイスの差を埋められるだろうか。それとも、ユーザによるカメラの調整やフォームの改善に委ねることになるのだろうか。
参照元サイト:Road To VR
参照元サイト:Sparc
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