家庭用ゲームコンソールでのVRゲームがしたいならば、現状はPSVRを選ぶしかない。ソニーのPlayStation 4とPSVRを用意すれば、VRゲームが可能だ。
PCベースのVRヘッドセットに比べるとトラッキングの精度が低くルームスケールでのVR体験に対応しないという難点もあるものの、対応タイトルの数は増えつつある。専用タイトルが豊富なだけでなくPCとのクロスプレイに対応するマルチプラットフォームタイトルもあり、PCベースのVRシステムに比べれば低価格で環境を整えられる点もポイントだ。
マイクロソフトが11月7日に発売する予定の最新ゲーム機Xbox One Xは、VR非対応のゲーム機として発売される。しかし、来年にはVR(MR)に対応するゲーム機としてPS4とPSVRのライバルになるかもしれない。
Xbox One X
マイクロソフトのゲームコンソール
家庭用の据え置き型ゲーム機では任天堂(Nintendo Switch)とソニー(PlayStation 4)が二大勢力となっているが、マイクロソフトも負けてはいない。
マイクロソフトは以前からこの分野で主にソニーと争っている。最近ではPCも含めた複数のハードで発売されるゲームが少なくないが、かつては遊びたいタイトルの存在がXboxとPlayStationのどちらを購入するかを決めるような状態だった。
マイクロソフト=Windowsを作っているパソコン関係の会社というイメージが強いこともあって、日本での販売台数や知名度で見ると任天堂やソニーに及ばないXboxだが、同世代の他社ハードに匹敵する性能を持つゲームコンソールだ。
11月7日発売の最新ハード
そのXboxシリーズの最新モデルが、今月発売されるXbox One Xだ。
最大の魅力は、家庭用ゲーム機としては最高の映像処理能力だろう。「Xbox史上最もパワフルな本体」とされるだけあって、性能は非常に高い。
CPUは2.3GHzの8コア、メモリは8GBのメインメモリ+12GBのビデオメモリが搭載されている。この恵まれたスペックによって、4K画質で現実のようなゲームの表現が可能となる。
豊富なポートや規格への対応により、拡張性も高い。4K専用のゲームだけでなくXbox 360のゲームを遊ぶこともできるため、発売時からタイトルが充実しているのも嬉しい。
ただし、こうした高性能と引き換えになってしまうのが本体価格だ。Xbox One Xの本体価格は税抜き49,800円となっている。同じ1TBのハードディスクを備えたPlayStationの最上位モデルPlayStation 4 Proは希望小売価格が税抜き44,980円(実売価格は46,000円程度)なので、比べるとXboxが5,000円ほど高くなりそうだ。
VR(Windows MR)への対応
Project Scorpio
このXbox One Xが発表されるより以前、コードネームのScorpioと呼ばれていた頃にはVRへの対応も噂されていた。ソニーのPS4では専用のPSVRを使うことでVRゲームが可能となるため、マイクロソフトが次世代機でVR機能を追加することは十分考えられたのだ。
しかし、実際に発表されたXbox One XがVRに対応するという情報はなかった。少なくとも発売時点では、この最新ゲーム機を使ってVRゲームを遊ぶことはできないようだ。
だが、発売直後に対応VRデバイスがないからといってXbox One Xが今後もVRに対応しないとは限らない。性能的にはPS4よりも上と考えられるハードなので、十分VRデバイスを動作させることができるはずだ。
MRヘッドセットの要件がカギになる?
Xbox One Xが発表されたときのニュースでも、2018年にMRに対応する可能性が指摘されている。過去にマイクロソフトのブログに掲載された記事から考えても、来年にはこのハードを使ったMR体験が可能になるだろう。
Xbox One XにはPSVRと同等のVRヘッドセットを動作させるだけのパワーがある。そして、複数のメーカーが開発するWindows Mixed Reality対応ヘッドセットの動作要件はゲーム用途に組み立てられたパソコンでなくても満たせるほど控えめだ。
早い時期にXbox One X専用のMRヘッドセットが発売される、またはXbox One X側のアップデートで標準的なWindows MRヘッドセットに対応する可能性は高い。
ルームスケールVRへの対応
Xbox One XでVR(MR)ゲームが可能になるならば期待されるのが、ルームスケールVRへの対応だ。
現時点では、ルームスケールへの対応を含めたよりクオリティの高いVR体験を求めるならPCベースのVRシステムを構築しなければならない。PSVRのトラッキング対象はPSVR本体とコントローラーのPS Moveやシューティングコントローラーに限られており、トラッキングが可能な範囲も狭い。
しかし、Windows MRヘッドセットは外部にベースステーションを設置しないインサイドアウトのトラッキングを採用している。MRヘッドセットへの対応が行われれば、家庭用ゲーム機でルームスケールVRが可能になるかもしれない。
Xbox One Xは、家庭用VRゲームの歴史を動かすハードになる可能性を秘めていると言えそうだ。
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