2017年10月24日、ARヘッドセット開発を手がけるEverysightが、サイクリスト向けARスマートグラス「Raptor」の予約販売受付を開始した。予約者に限り、特別割引価格で購入可能だ。商品の発送は2018年からを予定している。
「Raptor」はコース上のチェックポイント間の距離やアスリート本人の移動速度など、サイクリストにとって役立つ情報をディスプレイ上に表示してくれるというデバイス。
これらの情報は、サイクリスト向けのスマートフォンアプリケーションやハンドル取り付け型のガジェットなど、既に市場に出回っているプロダクトを活用することでも入手できる。だが、自転車の走行中にスマートフォンを見ることは非常に危険な行為であり、絶対にやってはならない。
一方で、「Raptor」を使った場合は、デバイスを見るためによそ見をしたり、手が塞がってしまうという心配がない。安全性と利便性を両立できるデバイスというわけだ。
商品の予約はこちらから可能。
Everysightとは?
Everysightは、ヘルメットマウントディスプレイの開発製造を手がけるイスラエルの企業、Elbit Sytemsによって設立された会社だ。
Elbit Sytemsは25年以上に渡り戦闘機パイロット用のARプロダクトの設計・開発を手がけてきたという実績がある。この経験を、コンシューマー向けプロダクトの製造に活かすために作った会社が、Everysightだったというわけだ。
すでにElbit Sytemsは、軍用AR技術の転用先として自転車産業に目をつけ、一定の成功を収めつつある。そして次に同社は注目したのがウェアラブル市場だったのだ。
Raptorの性能
心拍数や走行距離をリアルタイムで表示
RaptorにはEverysightが特許を取得した「BEAM技術」が使用されている。
この技術により、Raptorのディスプレイは、サイクリストの心拍数、ケイデンス(ペダルを漕ぐ回数)、自転車の速度、走行距離などの情報を現実空間と重ねるようにして表示しながら、それらの情報を鮮明かつ高解像度で、リアルタイム表示することが可能になっている。
これらの情報は、サイクリストの競技パフォーマンス向上のための手掛かりとして、大いに役立つことだろう。進行方向から目を離さずにAR画面を確認できるので、高い安全性が保証されている。
ちなみにBEAM技術は、デバイスの電力消費量を最小化するという役割も担っているようで、これによってRaptorは充電無しで最大8時間駆動することができるのだという。
Bluetooth接続すれば、スマホの通知もRaptor上で確認可能
RaptorにはQualcommのWi-Fi/Bluetoothプロセッサーが埋め込まれている。これを利用することによって、走行中にスマートフォンに着信がきた場合には、Raptor上で通知を受け取ることができるのだ。
この機能を使えば、重要なメッセージを見逃す心配はなくなるし、スマートフォンをいちいちポケットから取り出す必要もなくなるのだ。
サイクリング風景を友人やコーチとシェア可能
さらにRaptorにはマイク付きHDカメラが内蔵されており、サイクリング中の風景などを、SNSなどを通じてほかの人とシェアすることも出来る。
またオーバーレイ表示されるデータも合わせてシェア可能となっている。これらのデータを映像と合わせてサイクリングコーチに送信すれば、的確なアドバイスを受け取れるようになるかもしれない。
もちろん、単純にサイクリングの様子を友人や家族に送って楽しむことも可能だ。
Raptorの予約販売について
予約者は特別価格で購入可能
Raptorの価格は、ストレージ容量16GBのものが649ドル、32GBが699ドルで発売される予定だ。
ただ、予約販売に申し込み購入した人のみ、16GBを499ドル、32GBを549ドルという特別価格で入手できる。
なお、用意されているカラーは、オールブラック、グリーン+ブラック、ブルー+ホワイトの3パターンだ。
アクセサリーも販売
Raptor本体のほかに、使用時に役立つ付属品のアクセサリーも購入可能だ。
Raptorを操作するためのハンドレバーは59ドル、度付きレンズは29ドル、そして色付きレンズは79ドルという価格設定になっている。
これらのアクセサリー品を全て揃えると、それなりにコストがかさんでしまうものの、サイクリストのパフォーマンスを向上させることは間違いないので、気になっている方は購入を検討してはどうだろうか。
参考URL:
Eversight, VentureBeat, Engadget
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