VR業界では、PCベースのハイエンドVRヘッドセットHTC Viveの開発・販売を行うメーカーとして知られるHTC。だが、HTCはVRビジネスのために立ち上げられた企業ではない。それどころか、かつては世界トップのスマートフォンメーカーだった。
この問題に詳しい関係者によると、HTCはVive VR事業部門を独立させるか、場合によっては他社に売却することも含めて今後の方策を考えているようだ。
HTC Viveが新たなHTCの子会社から販売されるようになることは十分に考えられ、全く別の企業が扱う製品になることもあり得る。
関係者の発言
この内容は、Bloombergが報じたものだ。
内々に議論が進められていることについて扱ったものなので情報源は明かされていないが、この情報が事実であればかなりHTCの内部事情に詳しいか、もしくは自身がHTCの中心に近い位置にいる複数の人物がソースだと思われる。
Vive VR事業が売却される?
HTCは顧問とも相談しつつVR事業の独立から売却に至る幅広い選択肢を検討しているとされているが、現時点では決定されていないようだ。
ただ、Bloombergに情報を提供した人々の一人はHTCがViveの事業全体を売却してしまう可能性は低いと考えているという。
それは、このビジネスが複数の分野に跨る規模の大きなものだからだ。Viveの事業には、VR技術の研究からヘッドセットのハードウェアを製造することまでが含まれている。
自社でVRの研究を進めているどこかの大企業がViveブランドを引き継ぐ可能性は否定できないものの、HTCからVive VR事業を丸ごと買い取ることができるような候補となる企業はそう多くない。
これがVR事業の完全な売却は考えにくいとされる理由だ。
だが、部門ごとに異なる複数の企業に売却する、HTCも含めた複数の企業が共同でViveを扱うための子会社を設立するといったことはあるかもしれない。
HTC Viveのオーナーや購入を検討する消費者、VR業界に興味を持つ消費者にとっては動向が気になるところだ。
値下げとの関連
HTCは8月21日にViveの価格を引き下げ、77,880円としている。もちろんこれまで同様にVRコンテンツのバンドルも行っているので、純粋にお得になっていることは間違いない。
Viveの発売から1年以上を経て断行されたこの値下げについては、様々な憶測が出ている。
Oculusとの競争
値下げの理由ではないかとささやかれているのが、ライバルとなるOculusのPCベースヘッドセットOculus Riftの価格改定だ。
Oculusは発売以来二度の価格改定を行っており、当初HTC Viveと同じ800ドルだったOculus Riftを500ドル(現在はサマーセール中のためさらに100ドル安い400ドル)としている。
一度目の値下げに対してはViveの高い性能を理由に対抗値下げを否定していたHTCも、自社デバイスの半額で競合する製品を販売するこのライバルを無視できなくなったのかもしれない。
もっとも、この説についてはHTCのスポークスパーソンが否定している。
海外メディアのRoad To VRに対して語られたところによれば、これはHTCがかねてから計画していた価格戦略を実行しただけにすぎず、Oculus Riftの値下げに対応するものではない。
HTCは、ヘッドセットの装着感や音質を高めるViveデラックスオーディオストラップや取り付けたもののトラッキングを可能にするVive TrackerといったVive用のアクセサリも販売している。
Vive本体の価格を引き下げることで、消費者にアクセサリの併せ買いを進める狙いだ。
新製品の準備
もう一つ噂されていたのが、Viveの在庫を処分して来るべき新型Viveの発売に備えるための値下げだという説だ。
これについてもすぐに否定されており、さらに今年中にPCベースのVive 2が登場することはないという。
Viveの根本を揺るがす何か
ここに来てHTCがVive VR事業そのものに大きな変更を加えようとしている可能性が浮上した。情報が正しければまだ決断は下されていないが、何らかの大きな動きに向けた前兆として今回の値下げが行われた可能性も否定はできない。
他のメーカーとの提携や売却も含め、次の動きによってはViveの販売戦略がこれまでとは全く異なるものになるかもしれない。
参照元サイト名:Bloomberg
URL:https://www.bloomberg.com/news/articles/2017-08-24/smartphone-maker-htc-is-said-to-explore-strategic-options
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