VRやARはここ1〜2年の間に一般化した技術であり、その活用方法の多くはまだ実験段階だ。
現在はもっぱらゲームやエンターテイメントのプラットフォームとして発展しつつあるVR/ARだが、その他にも教育やヘルスケア、医療や製造業など、様々な領域において活用方法が見出されているが、その中でも特に教育、フィットネス、エンターテイメント、そしてアダルトコンテンツは今後大きくVRが普及する分野といわれる。
教育
VR/ARは、従来の教育を大きく変える可能性を持っている。
従来の教科書ベースの教育で、教師が黒板を用いて解説する伝統的な授業方法にVR/ARを活用することで、生徒の理解度や課題への関心を大きく向上することが可能だ。
しかしVR/ARを教育に取り入れるには課題もあり、その多くはコスト的な問題だ。Oculus RiftやHTC Viveなどのハイエンドヘッドセットは高価であり、使用にはハイスペックのゲーミングPCが必要となる。
そのため、安価なカードボード型ヘッドセットなどのスマートフォンVRが教育で大きく活躍することが見込まれ、現在は学校教育での使用を目的としたヘッドセットが開発されている。
たとえばMerge VR社が開発する「Merge VR」や、Veative社の「VR Learn」はコントローラー付きでも20ドル(約2,200円)という安価で購入が可能だ。これらのヘッドセットは安価で、頑丈、大量生産がしやすいため、教室内の大勢の生徒が一度にヘッドセットを着ける状況に対応できる。
また、360度動画を用いて世界中の様々な場所を訪れたり、3Dデータを用いて歴史を学ぶことができる教育用アプリ「Expedition」をグーグルが開発、提供しており、またシンガポールの教育機関では授業にVRを採用する取り組みを行っている。
学校教育でのVR/AR普及は、徐々にではあるが進みつつあるようだ。
フィットネス
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VirZOOM vSports Competition Sponsored by AMD, HTC, Fitbit and Life Fitness (PRNewsfoto/VirZOOM)
毎朝のランニングやエクササイズ、筋トレなどは効果を出すために長期間継続し続ける必要があるが、途中でギブアップしてしまうことが多く、継続するためには工夫が必要だ。
VR/ARはフィットネスにおいても効果的で、VR/ARを活かしたゲーム的要素を毎日のワークアウトに取り入れることによって、モチベーションが維持しやすくなり、毎日のワークアウトが継続しやすくなる。
たとえば「BOXVR」はフィットネス目的のVRゲームで、HTC Viveのコントローラーを握ってボクシングの動きをすることで、ゲームとワークアウトを同時に行うことができる。
ノリの良い音楽を背景に、正面から流れてくるマーカーをタイミングよくパンチで捌いていき、画面には消費カロリーも表示されるので、モチベーションの維持が容易になる。
またVRヘッドセットと専用のフィットネスバイクを用いたVRサイクリングシステム「VirZOOM」 を用いれば、都市部に住む人でも手軽に快適なサイクリング体験をバーチャル空間で行うことができる。
これはサイクリングマシンを操作しながら、バーチャル空間でレーシングゲームや乗馬、炎を吐くドラゴンに乗って空を飛んだりなど、ゲーム的要素が多い環境でワークアウトできるので、飽きることなく楽しんでワークアウトを続けやすくなる。
「VirZOOM」を使用するには専用のフィットネスバイクが必要だったが、最近では「VZ Sensor」が登場した。これは通常のフィットネスバイクのペダルに取り付けて使用するもので、ユーザーがペダルをこぐ動作を検知して、VRヘッドセットに写されたゲームとその動作を連動してくれる。
エンターテイメント
現在、VR/ARが最も活用されている分野はゲーム含むエンターテイメントだ。
上記でも挙げたが、VR/ARはゲーム的要素がとても強い技術であるため、様々な分野にゲーム的要素を盛り込んで、より直感的に、楽しんで作業が出来るという利点がある。
VRを活用したエンターテイメントはゲームのみならず、たとえば「Tilt Brush」のようにバーチャル空間の中で3Dモデルなどのアートワークを制作できるアプリもある他、ARゲームである「ポケモンGO」はプレイヤーに外出を促し、より外向的でソーシャル要素が強く、コミュニケーションツールとして機能するという点で、従来のゲームを大きく進化させるものだ。
また、「Facebook Spaces」などのソーシャルVRは、バーチャル空間で友人とコミュニケーションすることが可能で、ゲームやシェア機能、アバターのカスタマイズなどの様々な機能が登場したことによって、バーチャル空間でのアクティビティがより豊富なものになる。
アダルトコンテンツ
成人向けコンテンツもVR市場で大きなシェアを占めており、今後のVR業界の動向を考えるうえで決して無視できない分野だ。
現在最もポピュラーなタイトルである『VRカノジョ』は発売前から注目を集めていた作品で、VRリズムアクションSEIYAとのコラボや、VRに香りを加えることを目指すVAQSOとのコラボなども実施されている。
本作はOculus Rift、HTC Viveに対応しているが、先日Oculus Riftがサマーセールを行った際『VRカノジョ』のセールスが倍近く伸びるなど、アダルトコンテンツは没入感の高いVRの普及において大きな役割を果たしている。
また、別のコンテンツでは「Waifu Sex Simulator」もアダルトコンテンツを代表するアプリであり、これは3DのキャラクターをルームスケールのVR空間で自由に操作することができる。
コントローラー操作に対応しており、バーチャル空間に表示したリアルなキャラクターに触れることができる。
Oculusがこの夏にセールを開始してから、アダルトVRコンテンツの売り上げが増加しており、「Waifu Sex Simulator」のダウンロード数も増加したようだ。
アダルトコンテンツはその性質上、あまり表向きの話題にならない存在だが、VRの普及においては大きな力を持つ存在だ。現在はVRポルノに特化したスタンドアロン型ヘッドセットまで登場するなど、今後の発展が期待できる分野だ。
参照元:VRFocus
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