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スピルバーグ監督発言「映画「ゲームウォーズ」のようなVR社会は、好むと好まざるとに関わらず、私たちを待っている」


海外メディアSkyNewsは、コミコンにおけるスピルバーグ監督の発言を報じた。



スピルバーグ監督とVR


同メディアは、アメリカ・カリフォルニア州のサンディエゴで2017年7月20日から23日まで開催されていたアメリカ・サブカルチャーをテーマとしたイベント・コミコン2017に出席したスピルバーグ監督の発言を報じた。


同監督が同イベントに出席したのは、2018年3月に公開が予定されている映画「ゲームウォーズ(原題:「Ready Player One」)」のトレーラー動画を披露するためだった。


同映画は未来社会におけるVRをテーマとしているのだが、同監督は映画とともにVRに関する自らの見解も示した。


VRを警戒していた2016年の同監督


今回の同監督の発言を理解するためには、約1年前にカンヌ映画祭でVRに関して述べた同監督のコメントに言及しないわけにはいかない。


映画「BFG:ビック・フレンドリー・ジャイアント」を出品するするために同映画祭に参加していた同監督は、VRに関して以下のようにコメントしていた。


私が思うに、VRというメディアに突き進んでいくのは危険を伴うものです。


というのも、映画の鑑賞者はストーリーテラーである映画監督が意図しないところを見ることが許され、自由に映画を見ることができるのですから。


VR作品が始まり、すべてが見ることができ、また見るところを自由に決めることができるバーチャル世界に鑑賞者が包まれた時、私は鑑賞者がストーリーを忘れないで欲しいと願うばかりです。


(海外メディアGuardianの記事より引用)


伝統的な映画は、映画監督がカメラワークと編集を決定することで、鑑賞者が見るものを一義的なものとすることによってストーリーを伝えるものである。対して、VRは鑑賞者がどこを見てもよい自由が与えられるので、監督が意図するストーリーが伝わらない危険性があるのだ。


一流のストーリーテラーである同監督が、映像からストーリーを奪いかねないVRを恐れるのは、当然なのであった。


VR動画は不可避と悟ったスピルバーグ監督


コミコンでのスピルバーグ監督(左)。中央は小説「ゲームウォーズ」の原作者アーネスト・クライン、右は映画「ゲームウォーズ」主演のタイ・シェリダン


以上の発言から約1年が経過して、同監督はVRをテーマとした映画「ゲームウォーズ」に言及しながら、VRに関して以下のようにコメントした。


未来のおけるVR体験を描くと同時に、その未来から1980年代を描くという言わばフラッシュ・フォワードとフラッシュ・バックが同居する映画「ゲームウォーズ」の制作は、とても面白いものでした。


映画を制作するにあたり、私が考える未来にまさに生きているかのように作ろうと思ったのですが、そうした未来はまだ実現していません。


しかし、VRが普及した未来は、私たちが好むと好まざるとに関わらず、私たちを待っているのです。


同監督は、この1年でVRについて見解を改めたようだ。以前は、VRを伝統的な映画を原則を脅かしかねない「危険な」ものと考えていたのだが、現在はVRは未来において普及している不可避なものとして受け入れているように感じられる。


同監督が、VRに関する見解を転回させたのは、やはり映画「ゲームウォーズ」を監督したことが影響しているのだろうか。同監督のVRに関するスタンスを知るためには、同映画を見る必要があるだろう。


著名映画監督と映画


現時点では著名なVR映画の監督は存在しないものも、著名な映画監督が制作に関わったVRコンテンツは少数ながら存在する。


アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督の「血と砂」



2006年に日本女優・菊池凛子が出演した「バベル」によって同年のカンヌ映画祭監督賞を受賞し、2014年に発表した「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」ではアカデミー監督賞ほか4部門を受賞した経歴をもつ世界的に著名なアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督は、今年のカンヌ映画祭にVR映画「Carne y Arena」(原題はスペイン語、英題「Fresh and Sand」日本語訳は「肉と砂」)を出品した。


メキシコからアメリカに不法移民するために国境を越える人々を描いた同映画に関して、同監督は以下のようにコメントしている。


伝統的映画はフレームがあるので、制作者は自分の意図が伝わるように編集することができます。言わばタイヤのあるクルマです。しかし、VR映画はそうはいきません。それはタイヤのないクルマのようなものです。


…VR映画では私は自分の意図の20%しか鑑賞者に伝えることができません、残りの80%は鑑賞者自身が見つけるのです。作品から意図を見つける必要があるので、VR映画は「対話的」と言えます。


同監督は、スピルバーグ監督が指摘した「VRの危険性」をむしろ「VRの強み」として捉えているようだ。


リドリー・スコット監督の「RSA VR」



映画「エイリアン」「ブレードランナー」を監督して映画監督としての名声を確立したリドリー・スコット監督は、VRコンテンツ制作専門のスタジオ「RSA VR」を設立した。


本メディア2017年4月28日付の記事では、同スタジオが制作したVRコンテンツ「Alien: Covenant In Utero」を紹介した。同コンテンツは、映画「エイリアン:コヴェナント」の関連コンテンツである。


スピルバーグ監督が考えるように、VRの普及が不可避であるとするならば、そう遠くない将来には「VR長編映画」が登場するかも知れないだろう。


コミコンにおけるスピルバーグ監督の発言を報じたSkyNewsの記事

http://news.sky.com/story/spielberg-warns-vr-will-rule-the-future-at-comic-con-10958385


2016年のカンヌ映画祭におけるスピルバーグ監督の発言を報じたGuardianの記事

https://www.theguardian.com/film/2016/may/19/steven-spielberg-warns-vr-technology-dangerous-for-film-making


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