韓国のベンチャー企業Nationaluxが、AR技術と3Dサウンドを活用した音楽ストリーミングサービスを開発している。
VRを駆使した音楽ライヴや、VRを自らの作品に取り込むアーティストが登場し、VR/ARが音楽業界で大きな役割を果たしつつある今、音楽ストリーミング配信にVR/ARが取り入れられることによって、従来の音楽の聴き方が大きく変わろうとしている。
概要
ARによる音楽ストリーミング
韓国のリサーチ系ベンチャー企業であるNationalux Research Centerが現在行なっている取り組みは、同社が開発する3DサウンドをMicrosoft HoloLensと組み合わせた新しい音楽ストリーミングサービスを提供することだ。
SpotifyやApple Musicなどのストリーミングサービスの普及によって従来の音楽の聴き方が変わり、そこにARと3Dサウンドを取り入れることによって、これまでの音楽の聴き方は更なる変化を遂げる可能性がある。
サービス内容
Nationaluxが開発しているサービスはAR(拡張現実)技術を活用した音楽ストリーミングサービスであり、HoloLensを装着して利用するこれは、同デバイスのカメラを通してアルバムのカバー、QRコード、ポスターや写真など様々な要素から音楽を認識し、自動的にストリーミングすることができる。
ライブラリには約500万曲の楽曲が用意されており、ユーザーはスマートフォンやプレイヤーを手動で操作することなく、ジェスチャーや音声操作によって自分の好きな音楽を聴くことができる。
Amazon Alexaなどのスマートスピーカーの普及によって音声操作によってアプリを操作する機会が増える中、ARによってデータが可視化されることによって、より操作性が向上する。
3Dサウンドが音楽を変える
Upmixingとは
没入感の高いコンテンツを楽しむために必要な要素は解像度の高いリアリティ感溢れる映像だけでなく、体験に立体感をもたらす重要な要素として3Dサウンドが大きな役割を果たし、この2つによってコンテンツに深く没入できる環境を構築することが可能になる。
本サービスは”Upmixing”という技術を用いており、これは楽曲をコンピューターが解析することにより、原曲の少数のチャンネル数を増やす技術であり、具体的には、2チャンネルの楽曲を5.1チャンネルの楽曲に変換して楽曲に立体感を生み出すことができる、というものだ。
Upmixing技術を使うことによって、現行で流通している2チャンネルの楽曲を5.1、もしくは7.1チャンネルで再生することが可能になり、リスナーは聴いているサウンドに方向性や、深さや、ボリュームやタイムログを感じ取ることが可能になる。
あらゆる音楽を3Dサウンドで聴く時代へ
Nationaluxが開発するこのサービスは、トラックメイカーやコンテンツクリエイターが制作した楽曲やコンテンツを投稿することも可能であり、これらのコンテンツは3Dオーディオとして再生することができ、ユーザーは3Dサウンドによる次世代の音楽体験を楽しむことができる。
高性能スピーカーやヘッドフォンが登場し、音楽を鑑賞する環境が格段に進化を遂げた今、3Dサウンドが発揮するポテンシャルは大きく、これによって音楽を聴く楽しみが格段に増えるのは間違いない。
今後の展開
今後は様々なアプリや他のサービスとのコラボレーションが考えられ、たとえば教育やゲームにVR/AR体験と3Dサウンド体験を融合したものを取り入れることができる。
開発者はこのサービスを通して3Dサウンドの市場を開拓することを望んでおり、3Dサウンド技術とVR/ARが融合することによって、新感覚のエンターテイメントが生み出され、従来ではあり得なかった新しい市場の開拓や、コンテンツの楽しみ方が誕生する大きな可能性を秘めている。
Nationaluxが開発する本サービスはHoloLens向けのアプリとして2017年8月にリリースされる予定だが、iOSとAndroid対応アプリも発表される予定。
Nationalux Research Centreとは
Nationaluxは韓国に籍を置くリサーチ系ベンチャー企業で、2013年に創業され、現在までに同社が開発したデザインプログラムによって約14以上の受賞歴を持ち、国内外問わず様々な展示イベントに出展を行なっている。
企業名はKINT Inc,という名前で、グローバル企業である本企業は3Dマルチサウンドの開発、提供を進めており、スマートフォンで3Dサウンドを再生できる”H-Fox”や、
HD画質のVRによるカルチャーやアートのオンライン教育の開発も行なっている。
他にもサウンドシステムの開発やアプリ開発も行なっており、今後の活躍が期待できる企業だ。
公式サイト:Nationalux
参照元:VRFocus
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