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誰でもVRを体験できるVRアーケードの工夫


VRを体験する様子


VR技術は一般の消費者でも購入できる価格のデバイスで利用できるようになっているが、自宅にVR体験ができる環境が揃っているというユーザはまだまだ少ないのが実情だ。


VRは未来の技術としてSF作品でイメージされてきたようなレベルには達しておらず、ガジェット好きや一部の流行に敏感なゲーマーが購入するだけに留まっている。


そんな状況を背景に、気軽にVR体験ができる施設として各国に拡大しているのがVRアーケードだ。VRPlayinはトロントで最大のVRアーケードであり、多くの人にVRを体験してもらうための様々な工夫が行われている。


Mobile Syrupでは、VRPlayinの様子やCTOへのインタビュー内容を掲載している。


VRPlayinの概要


VRPlayinのカウンター


極端な話をすれば、VRデバイスとゲーミングPCがあればVRアーケードをオープンすることが可能だ。規模の小さいVRアーケードは、都市部で4つ程度のブースを持つ小さな店舗で営業を行っている。


しかし、VRPlayinは規模の大きなVRアーケードだ。VRPlayinでは、VRデバイスとしてHTC Viveが採用されている。ゲームが可能なステーションは全部で18用意されており、あらゆるジャンルに渡る30種類を超えるVRコンテンツが提供されている。


提供コンテンツ


例えば、以下のようなジャンルがある。



  • アクション&戦闘

  • アート&創造

  • 冒険

  • 教育&学習

  • マルチプレイヤー

  • ドライビングシミュレーター

  • スポーツ


Surviosの『Raw Data』のような大ヒットタイトルもプレイ可能だ。


設備と料金


VRPlayinは4月1日にスタートしたが、6月14日に公式なグランドオープンを迎えた。


利用料金は1時間29ドルから39ドル(2,500円から3,300円)で、時間帯によって変動する。VRアーケードには珍しく、朝は29ドル、夕方は34ドル、夜は39ドルとカラオケのように料金が時間帯別に設定されているのだ。


料金には1台のHTC Viveとコントローラーに加えて最大2人の友人と一緒に利用できる個別ブースが含まれている。また、個人の料金の他に団体料金も用意されている。


同じブース内でVR体験を見学するだけなら追加料金は不要だが、各ブースにはViveが1台しかない。友人と対戦するためには複数のブースを予約する必要がある。


イベントで使用できるパーティールームもあり、軽食や飲み物も販売されている。


VRを一般の人に


VRPlayinの店内


設立の背景


VRPlayinの設立に繋がるアイデアを設立者でCTOのBryan Baiが思いついたのは、彼が初めてのVR体験をしたときのことだ。彼は同僚とともにVRヘッドセットを購入し、VRを試してみた。


ゲーム開発の経験もある彼は、バーチャルな世界に入り込めるVRに感銘を受けた。そして、この経験を熱烈なゲーマーだけでなく一般の人にも伝えたいと考えるようになったのだ。


「この技術に親しみを持っていない人たちこそが、この技術を最も試してみるべき人です。彼らは蚊帳の外に置かれています」


VRPlayinのマーケティング・ディレクターであるValerie Blackstockは、同社の目指すサービスを次のように語る。


「VR技術は真新しいものであり、しばらくは業界が未成熟なままとなるでしょう。


多くの人にとって、VRは利用しにくいものになってしまっています。VRデバイスを導入するにはかなりのコストがかかり、セットアップは複雑で、多くのコンテンツから質が良くて目的に合うものを選び出す必要があるからです。


VRPlayinは、誰でもVRを利用できるようにしようとしています」


Baiは、ヘッドセットとゲーミングPC、そしてVRゲームを購入する代わりに、VRPlayinのようなベンチャー企業のサービスを利用してVRを体験する意味があると考えている。


特別な設備


レーサー気分が味わえる専用ブース


VRPlayinでは18のHTC Viveを使えるブースに加えて、『Project Cars』が遊べる専用ブースを用意している。ハンドルとペダル類が付属しており、本当に自動車を運転するような形でVR体験が可能だ。


このブースの利用料は、通常の料金に含まれている。


安全のための工夫


天井からケーブルで繋がれたHTC Vive


自宅でのVR体験と違って、VRのことだけを考えて作られた空間を利用できるのもVRアーケードのメリットだ。


HTC ViveにはTPCastやDisplayLinkの開発するワイヤレスアダプタも存在するが、通常はPCとViveを有線接続して使うことになる。ケーブルには体験時に移動できるだけの長さがあるが、邪魔だと感じることも多い。


VRPlayinでは、天井から各ブースへとケーブルを垂らす形になっている。そのため、ケーブルがユーザの移動を妨げることがない。これは、彼らが特にこだわったところだ。


Baiは自宅でViveを利用するときに、しばしばケーブルに引っかかったという。その経験から、ユーザが躓いてしまわないように対策を行った。


また、壁には柔らかなマットが貼られている。これもユーザの安全を考えてのことだ。ゲームに夢中になったユーザが壁にぶつかって怪我をしないようになっている。


写真では壁にテレビが取り付けられているのが見えるが、以前はもっと下にテレビがあったという。VR体験中にぶつかるユーザがいたため、上に移動されたのだ。


清潔に保つ工夫


ヘッドセットは直接頭に付けるデバイスなので、汚れが気になる。特にVRアーケードでは複数のユーザが同じヘッドセットを共有することになるので不安なユーザもいるだろう。


VRPlayinでは、ヘッドセットに使い捨ての柔らかいパッドを取り付けている。利用者が交代するたびにパッドを捨てて交換しているため、ヘッドセットは清潔だ。


また、ヘッドホンもユーザごとに交換している。


良いところだけを楽しめる


VR技術に限らず、あらゆるものに良い面と悪い面がある。Baiが目指すのは、ユーザがVRの良いところだけを楽しめるサービスだ。


「私たちは、ユーザがVRをただ楽しむことができるように努力しています。


『何かを壊してしまうのではないか』『ケーブルに引っかかってしまうのではないか』あるいは『良いVRゲームを見つけられるだろうか』と心配させたいわけではありません。


トラブルなく、とにかく楽しんでほしいのです。」


試さなければ分からない


VRアーケードの優れた点は、大きな投資をせずに本格的なVR体験が可能なことだ。


Baiが言うように、VRは自分が体験してみないと分からない。しかし、メジャーなVRデバイスを購入するには本体だけでも数百ドル単位のコストがかかり、利用にはセットアップも必要になる。


「VRアーケードは、消費者がこの新しい技術を初めて体験する場としての特別な役割を果たしていく」というのが彼らの考えだ。


既にデバイスを所有しているユーザも、購入する前に複数のコンテンツを吟味できる場としてVRアーケードを活用することができる。


各国で増えているVRアーケードは、エンターテイメント施設としての役割とデバイスのメーカー・コンテンツデベロッパーにとってのショールームとしての役割を担っていく。


 


参照元サイト名:Mobile Syrup

URL:http://mobilesyrup.com/2017/06/14/toronto-arcade-vrplayin-aims-to-make-virtual-reality-accessible-for-the-masses/


参照元サイト名:VRPlayin

URL:https://vrplayin.ca/


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