VRゲームは、ゲームの世界にプレイヤーを連れて行ってくれる。ヘッドセットによって外の世界を遮断することができるので、その世界に入り込む体験ができるのが特長だ。
オンラインマルチプレイでも一緒に戦っているような感覚が得られる反面、ローカルマルチプレイには向かない。プレイヤーのそれぞれがヘッドセットを付けてしまうので、「顔を合わせてゲームをする」という楽しみが薄いのだ。
友人と集まってゲームをするなら、ARデバイスを使った卓上ゲームも良いかもしれない。VR技術と同様に、AR技術もゲーム文化に影響を与えている。
スマートフォンのARを使った卓上ゲーム
卓上ゲームといえば、ダイスやカード、各種トークンを使うことで電子機器に頼らずに遊べるものが主流だ。だが、最近ではスマートフォンアプリを使うことでリプレイ性を高めたり、コンポーネントを削減したりといった挑戦を行っているタイトルも存在する。
こうしたゲーム側の動きとARデバイスの発展を考えると、将来はデジタルとアナログの境界に存在するようなゲームも増えてくるのかもしれない。
HoloGrid: Monster Battles
スター・ウォーズの映画で遊ばれていたホログラムのチェスにインスパイアされたこのゲームは、Kickstarterで824人から10万ドル(1,140万円)の資金を集めて開発された。
Gear VRを使ってVR空間でプレイできるアプリを購入するか、無料のAndroidまたはiOS用アプリを使ってARで遊ぶことができる。ARで遊ぶにはカードや折りたたみ式のデバイススタンドが含まれるセット(定価30ドル)が必要になる。
ARまたはVRを使ったゲームではあるが、コンポーネントの役割は大きくない。AR版はゲームセンターに設置されているような「カードを読み込ませて遊ぶデジタルゲーム」に近い感覚だ。
Live Game Board
Live Game Boardの本体は、一枚のシートにすぎない。公式サイトからプラスチック素材または厚手の紙に印刷されたボードを購入する(紙製でA3サイズなら7.5ドル~)か、無料でダウンロードできるPDFファイルをプリンターで印刷すれば利用できる。
スマートフォンやタブレットといったカメラ付き端末のディスプレイを通してこのボードを見ると、ボードの上でゲームが展開されるという仕組みだ。ゲームは現在5つ公開されており、いずれも無料で利用できる。
ARゲームのプラットフォームとしても設計されており、SDKを利用して独自のARゲームを作成・公開できるのが特長だ。
Game-On
ARアプリで読み取るためにデザインされた特別なカードを使ってゲームをするためのカードセットだ。カード自体にはアプリが認識するための二次元コードを除いてほとんど情報が印刷されておらず、アプリの種類によって異なるゲームを楽しめるシステムになっているようだ。
遊びたいゲームに合わせて自由に内容を書き換えられる、白紙のカード群を購入するようなイメージだろうか。
作成者のDamien Lopezにとって始めてのKickstarterプロジェクトということもあり、あまり資金が集まらなかったようだ。紹介動画の解像度が低い、ARで動いているシーンが少ないなど、動画の見せ方が良くなかったのも理由かもしれない。
とはいえ、彼の友人や家族による援助で目標金額は達成されている。今後はゲームイベントでの露出も増やしていくということなので、実際に触れることで興味を持つ人も増えてくるかもしれない。
Genesis Augmented Reality
GenesisもGame-Onと同様にカードを使用するARゲームだが、カードそのものがゲームの主役であるGame-OnよりもHoloGridに近い。
カメラ付き端末のアプリがカードを認識すると、そのカードに対応するキャラクターが画面上に現れる。キャラクターは実際にカードが置いてある場所に固定されているわけではなく、ゲームが始まるとプレイヤーの操作に反応するようだ。
一見すると一般的なトレーディングカードゲームのようなカードを使っているが、戦闘はリアルタイムのアクションゲームになる。また、キャラクターを成長させたり、課金によって能力を強化するような要素もないという。
勝ちたければ、カードを集めるのではなくゲームを遊んで練習することで腕を上げるしかなさそうだ。
「カードを購入する」というキャラクターの増やし方が独特ではあるが、基本はカメラの映像にキャラクターが重なって表示されるアクションゲームだと思われる。
25ドルで2種類のキャラクターがランダムに含まれるスターターパックの予約注文が可能だ。発売予定日は2017年4月17日とされており、追加の情報はない。
専用ARデバイスを使った卓上ゲーム
上で紹介してきた他のものとは異なり、このCastARはスマートフォンを使わない。代わりに、ARグラスとトラッキングされた専用のコントロールデバイスが使われている。
特殊なデータが隠されたカードや、ゲームマットといったアナログゲームらしいコンポーネントも使わないので、他とは少し違う存在といえるかもしれない。CastARはゲームにも使えるデバイスだが、他の用途にも利用できる。
2017年に登場するとされているが、まだはっきりしない部分の方が多いデバイスだ。
ARを使ったゲームの良いところは、一人ではなく複数で楽しむタイプのコンテンツが作りやすいことだ。一人で長時間やり込むようなゲームを作るには向いていないかもしれないが、友人や家族と遊ぶゲームにはVRよりも適しているだろう。
スマートフォンを使ったシステムならば非常に低コストで作成できることもポイントだ。Live Game Boardは、自分でシートを印刷してしまえば印刷料金のみでゲームを遊べるプラットフォームとなっている。他のものも、軒並み低価格だ。
計算や乱数の生成をデバイスに任せたり、演出でゲームを盛り上げたりと、アナログなコンポーネントとアプリや専用デバイスの組み合わせには様々な遊び方の可能性がある。
参照元サイト名:Geek &Sundry
URL:http://geekandsundry.com/five-augmented-reality-devices-that-hold-the-future-of-tabletop-gaming/
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