2022年6月まで国会で議論が行われた放送法改正案は、予定通り可決し10月から施行されています。この放送法改正に伴い、NHK経営委員会は受信契約の見直し案を公表中。今後、広く募集する意見を参考にとりまとめられ、総務省に認可申請する流れになっています。そして、2023年4月から新しい受信契約が導入される見通しです。
NHKを契約拒否すると割増金の対象に
NHK経営委員会が2022年10月に公表した、受信契約の内容を定めた「日本放送協会放送受信契約」素案(NHK受信契約改正案)には、NHK受信契約の申込み期限と受信料に関する割増金の適用範囲の拡大が盛り込まれています。
これは、10月1日に施行された改正放送法に受信契約の申込み期限を受信契約に定めなければならないことが規定されたためです。これまでも、NHK受信契約には割増金自体の規定がありましたが、その適用は支払いの不正と受信料免除の理由が消滅後に届け出をしなかった場合に限られていました。
NHK受信契約改正案では、受信契約の申込み期限を「受信機の設置の月の翌々月の末日まで」と規定。この期限までに受信契約を結ばなかった場合に、割増金の対象となることが明記されました。つまり、NHKが視聴可能な状況で契約拒否をすると、割増金の対象になってしまうのです。
NHKの契約拒否で高額請求される危険
NHK受信契約改正案では、NHK受信料の割増金は2倍で、正規に支払う受信料と合わせて3倍支払う規定です。ただし、割増金はあくまでもNHK契約拒否などで受信契約を結ばなかったケースで、NHKと受信契約を結びながら受信料を滞納した場合は延滞利息が適用されます。
NHK受信料の延滞利息の利率は、NHK受信契約改正案ではこれまで同様に3期分(最大6ヶ月分)以上滞納した場合以降1期ごとに2.0%です。すなわち、NHKを契約拒否すると割増金が受信料の3倍の月数分が高額請求される危険がありますが、延滞利息であれば年率12%で済むということです。
このことから、NHKを契約拒否して割増金を請求されると、NHK受信料を滞納したケースと比べて大幅に損をすることになります。ただし、NHKの説明資料によると、割増金は「事由に該当する場合に一律に請求するのではなく、個別事情を総合勘案しながら運用していく方針」としており、必ずしも割増金が満額請求されるとは限りません。
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