いま日本で売られているテレビは、液晶・有機ELのいずれも4K放送対応モデルが主流です。これらの4K対応テレビを購入し箱を空けると、これまでのBSデジタル対応テレビには必ず同梱されていた「B-CASカード」がないことに気づきます。実は、4K放送対応テレビは、B-CASに変わる新方式
ACASへの対応が義務付けられているのです。
B-CASカードに不正書き換えが判明した
現在、4K・8Kチューナーを内蔵したテレビやレコーダーには、必ず
ACASチップが搭載されています。ACASは、B-CASに代わり4K・8K放送に導入された新しい視聴・録画制限システムで、制限がかからないショッピングチャンネルを除き、4K・8K放送を視聴するためには
ACASチップが搭載されなければならない仕組みです。
なお、
ACASチップはACASが使われる番組・チャンネルのほか、引き続きB-CAS方式が使われている地デジや4K・8K以外の再生にも対応。複数チャンネルの同時録画に備え、
ACASチップとB-CASスロットの両方を備えているレコーダーも販売中です。
なぜ4K・8K放送にB-CASではなく
ACASが採用されたかといえば、B-CASで使われている暗号化方式が解読されてしまい、B-CASカードは不正書き換えを行えることが判明したためです。実際、2012年には有料チャンネルが全部視聴可能になる「BLACKCAS」も登場。刑事事件として摘発を受けるといった事態も起きています。
4Kテレビの暗号鍵の長さはB-CASの2倍
4Kテレビに採用された
ACASでは、暗号化に新たにAESとCameliaという方式が使われ、暗号鍵の長さもそれぞれ128ビットと、64ビットだったB-CASの2倍。さらに、B-CASではカードスロット式を採用したため、B-CASカードのデータを外部カードリーダーで読み出し解析することが可能で、この点もB-CASの弱点といわれていました。
そのため、4KテレビのACASはカードスロットではなく内蔵チップ方式を採用。
ACASチップは、テレビなどのメイン基板に直接実装することが推奨されました。ところが、電機メーカーから故障の対応が難しいという意見が上がったため、
ACASチップ部分の交換が可能な方式に落ち着いたのです。
ちなみに、ACASで4K・8Kを含むNHKBS放送に表示されるメッセージを消去したり、WOWOWをはじめとする有料チャンネルを視聴する際には、
ACASチップに割り振られた20桁の番号を利用して手続きを行います。このACAS番号は、テレビやレコーダーの設定メニューから画面に表示可能です。
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