NHK受信料については「剰余金が大きい際には値下げの義務化」「各家庭を訪問して受信契約をとりつける活動を縮小する」など、大きな動きが続いています。そうしたなか、
NHK受信料を支払う人の割合はどのように変化しているのでしょう。
NHKが発表するデータを見ると、都道府県によって大きなばらつきがあることがわかります。
NHK受信料支払い率で増加率1位は鳥取
NHKは、毎年度末から数ヶ月後に「受信料の
推計世帯支払率」という数字を発表しています。「推計」となっているのは、NHK自身がデータを持つ受信料を支払う世帯数と、国勢調査などを元にNHKが推計した受信契約対象世帯を元に、NHKが算出したもののためです。
その最新版となる2021年度末の
推計世帯支払率は、全国で78.9%となり2020年度末から0.1%減少、2年連続で80%を割り込みました。ただし、都道府県別に見ると2020年度末がすべての都道府県で前年度末を下回ったのに対し、2021年度末では19府県で
推計世帯支払率が増加に転じています。
もっとも
推計世帯支払率の増加が大きかった都道府県は鳥取県で、0.8ポイント増の92.9%、逆に減少が大きかったのは和歌山県で1ポイント減の82%です。ちなみに、
推計世帯支払率が90%を超えているのは9県となります。
90%を超えるのが9県というのは2020年度末と同数。その内訳は青森、岩手、秋田、山形、新潟、富山、鳥取、島根、山口です。山口と山形を除いては、2020年度末から2021年度末で
推計世帯支払率は増加しています。
NHK受信料支払率で沖縄だけ低い理由
増減ではなく
推計世帯支払率自体を都道府県別に比較すると、もっとも支払率が高いのは秋田県の97.9%で、未払い世帯はわずか2.1%しかないことになります。一方、もっとも支払率が低いのは沖縄県の49.5%で、半数以上が未払い世帯となる計算です。ワースト2位の大阪府の66.4%とも16.9ポイントも差が付いているのです。
秋田県の
推計世帯支払率が高い理由は不明ですが、沖縄県が低いことには明確な理由があります。というのも、太平洋戦争後の米軍統治時代は沖縄にNHKの放送局が存在しなかったため、ラジオ・テレビともにNHK受信契約を結ぶ必要がなかったのです。
沖縄で受信料制度が始まったのは、「沖縄版
NHK」ともいえる沖縄放送協会(OHK)がテレビ放送を開始した翌々年の1969年からのこと。
NHK沖縄放送局のWebサイトによると、当時のOHK受信料は月80セントでしたが、それまで受信料不要だったところに導入したため、受信契約を結ぶ世帯は増えませんでした。
この状況は、1972年の本土復帰に伴いOHKがNHK沖縄放送局となったあとも続き、NHKが都道府県別の
推計世帯支払率を公表しはじめた2012年末の時点でも42%と低いものでした。NHK側でも、沖縄県の受信料を割安にするなどの対策を実施していますが、その他46都道府県と比べて低い
推計世帯支払率が続いているのでした。
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