民放のラジオ番組を聴いていると「ラジオでもradikoでも」といった言葉を聞くことがあります。radikoユーザーは約900万人といわれ、ラジオリスナーの1割以上が利用している計算です。そこで気になるのが、radikoと
FMラジオではどちらの方が音質がよいのかということ。じつは視聴状況によりどちらが優れているかが変わるのです。
radikoの音質はFMラジオ並みを実現
FMラジオは、番組を76~95MHzの電波でFM(周波数変調)を使い送信する放送です。
FMラジオは、AM(振幅変調)ラジオと比べて変調方式で有利なだけでなく、1チャンネルあたりの周波数幅が広く時間あたりで流せる情報量が大きいため、高音質の番組を楽しむことができます。
一方で、ネットで
ラジオ番組が楽しめるradikoは、番組をデジタル信号として配信する仕組みです。デジタル配信の音質は、まず時間あたりで流せる情報量と、使われる圧縮方式により決まります。
radikoの1秒あたり流れる情報量(ビットレート)は48kbpsと低いものの、高音質を実現するHE-AACという方式を採用。HE-AACは、低ビットレートながら高音質を実現できる圧縮技術で、音声周波数帯域も約50Hz~15kHzと
FMラジオ並みを実現しています。
とはいえ、
FMラジオの方は音声を無圧縮で送信しているため、デジタル圧縮に伴う音質劣化がありません。もともとの音源にもよりますが、
FMラジオは20Hz~20kHzまでの帯域が無圧縮で収録されるCDよりは音質が落ちるものの、仕組み上はradikoよりは音質が上ということになります。
radikoで高音質なラジオ番組を楽しむ
ただし、
FMラジオを高音質で楽しむためには、ラジオ受信用の設備をしっかり整える必要があります。高音質なFMチューナーやパワーアンプなどを揃えるのは当然のこと、受信用の外部アンテナも欠かせません。
例えば、ポケットラジオで
FMラジオを受信する場合、ビルに反射した放送電波などが混信する「マルチパス」により音質は下がってしまいます。また、高性能な指向性アンテナを利用した場合でも、パソコンなど電子機器が発生するノイズをFMチューナーが拾い雑音になるといった現象もおこりがちです。
その点、radikoの場合はネット経由でデジタル配信される仕組み上、電波受信によるノイズを心配する必要がありません。radikoを再生するためのアンプ、スピーカーのノイズには注意が必要なものの、電波受信環境が悪い場所であれば
FMラジオよりradikoの方が手軽に高音質でラジオ番組を楽しめる可能性が高いでしょう。
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