東京や大阪にある民放キー局・準キー局は他の道府県に支社をあまり置いていません。東京・大阪以外の道府県ではその地方ネット局が放送を行うのに対し、NHKは全国各地に
放送局を構えています。さらに、NHKの地方
放送局の多くは自社ビルで立派な建物であることがほとんど。じつは、わざわざ自社ビルにするのにはワケがあるのです。
NHKはビルをすべて自社で所有している
NHKは東京・渋谷にある東京放送センターのほか、各都道府県に地方
放送局を置いています。NHKの地方
放送局は、基本的に都道府県庁所在地に1局ですが、面積が圧倒的に広い北海道は札幌をはじめ7局を設置。また、福岡県は歴史的な経緯から福岡・北九州の2局体制となっています。
NHKの大きな特徴は、地方局を含めてビルをすべて自社で所有している点です。莫大な建て替え費用が話題になった東京・渋谷の東京放送センターをはじめとして、多くの
放送局が土地・建物ともすべて自社所有。札幌・甲府の2
放送局は土地こそ賃貸なものの、建物は自社ビルとなっています。
また、名古屋
放送局があるNHK名古屋放送センタービルのように、NHKと他社が同居するケースもありますが、この場合もNHKは土地や建物の一部を「共同敷地権」「区分所有権」といった形で保有。名古屋
放送局の場合であれば、土地全部とNHKが使用する建物部分はNHKの所有です。
一方、同じく全国に拠点を持つ報道機関として、読売新聞・朝日新聞といった全国紙や共同通信・時事通信のような通信社がありますが、こちらの地方支局では賃貸物件というケースも少なくありません。
NHKが自社ビル化にこだわる最大の理由
NHKが地方
放送局の自社ビル化にこだわる最大の理由は、災害時の情報発信拠点として活用するために、電源などのバックアップ設備を用意できるという点です。また、横浜・さいたま・千葉の各
放送局には東京放送センターのバックアップ施設という目的もあります。
本来、横浜・さいたま・千葉の3局は「関東広域」と呼ばれるエリア内で、独自番組が放送されているのはFMラジオのみ。テレビに関しては
東京放送センターの番組が24時間流され、テレビ用のセットは必要なさそうです。しかし、バックアップ目的も兼ねてテレビ放送の製作・送信ができる体制が作られているのです。
また、大阪
放送局には関東地方で大災害が発生した際に、全国放送が行える体制が整えられています。現在の大阪
放送局は、2001年に竣工した地上18階建ての大阪放送会館にありますが、これだけ大がかりな自社ビルになっているのは、東京放送センターのバックアップという目的があるためなのです。
また、NHKには一般企業とは異なり固定資産税の優遇措置もあります。NHKが支払う固定資産税は地方税法のなかに標準の1/2で済むという規定があり、一般企業と比べて
自社ビルを持ちやすい環境にあるといえるのでした。
【関連リンク】
\ この記事をシェア /