1990年代に一般人をも巻き込んだ受信ブームが起こりました。その原動力となったのが、
コードレスホン受信です。
コードレスホンは、携帯電話が普及する以前の1990年代前半、家庭や店舗などに広く普及した固定電話。受話器と電話機本体の間を電波でつないだコードのない電話機です。
コードレスホン受信の現在を見ていきます。
社会問題になったコードレスホン受信
コードレスホンはリビングや自分の部屋など、家の中で自由に電話できる便利さで大人気となりました。ピーク時には、年間400万台以上も出荷されたヒット商品です。
コードレスホンの普及は、1987年に製造販売が自由化された「アナログ
コードレスホン」(小電力
コードレスホン)が始まり。親機側は380MHz帯、子機側は254MHz帯のFMモードを使用します。
コードレスホンは便利な反面、電波を使っているので通話が受信可能。電話でしゃべっていることが、そっくりそのまま第三者に聞かれてしまうため、大きな社会問題になりました。
マスコミは
コードレスホン受信を「盗聴」としましたが、電波法では無線通信の傍受にすぎず、合法行為になります。盗聴器を仕掛ける盗聴とは明確に区別されるものです。とはいっても、個人情報が筒抜けになるプライバシー無線であることに代わりはありません。
デジタルコードレスホンが追い越す
2010年代に入ると携帯電話が普及し、固定電話である家電(いえでん)を開設する人、とくに若い人たちが減ってきたこともあり、聞き応えのあるおもしろい
コードレスホンの通話が激減。受信ジャンルとしては話題に上がらなくなってきました。
とはいえ、現在でも
コードレスホンはかなりの数が使われており、ご近所の無防備な会話が受信できるという状況に変わりはありません。
そして、2000年頃からは1.9GHz帯や2.4GHz帯のデジタル波を使った「デジタル
コードレスホン」の出荷台数が増え、2008年頃にアナログ
コードレスホンの出荷台数を追い越しました。
現在、家電量販店などで販売されているのは大半がデジタル
コードレスホンです。デジタル波は受信できないため、通話内容が受信できるのはアナログ
コードレスホンのみとなります。(文/大伴俊夫)
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