おもしろ無線の受信ジャンルは、エアーバンドや鉄道無線のように専用の周波数が割当てられます。ところが「レジャー無線」というジャンルには、専用波は存在しません。360~370MHz帯にレクリエーション施設運営管理用として、スキー場やゴルフ場事業者への割当てはありますが、使用者は少ないのが実情です。
レジャー無線に使われる無線の種類
レジャー無線には割当て周波数上の明確な分類はなく、ショッピングセンターやテーマパーク、野球場などのスポーツ施設やイベント会場、さらには競馬場といったギャンブル場など、大勢の人が集まる場所で使われる無線の総称になります。
これらのレジャー施設では、店員からガードマン、イベントのスタッフなど大勢の人が業務に従事しており、彼らの活動を支えている無線をひとまとめにしたのが、レジャー無線というわけです。使われる無線の種類は多く、簡易無線を筆頭に各種業務無線、特定小電力無線などになります。
これまで簡易無線はマイナージャンルでした。コールサインは「本社」や個人名を使うため、使用者の特定が困難だったからです。通話内容もそれ相応で、他に聞くべき受信対象がたくさんあったので、注目していたマニアが少なかったのも当然でしょう。
レジャー無線は通話内容と行動が一致
それが大きく変わっていったのは、全国各地に郊外型の大型ショッピングセンターがオープンして、施設内で簡易無線が使われ始めたからです。レジャー施設内での簡易無線はハンディ機で運用されるため、電波は施設周辺しか飛びません。
大きなアンテナを上げて、自宅で遠くの電波をじっくりと聞く静のスタイルではなく、レジャー施設に乗り込んで行き、無線機を使っている使用者の直近で受信する動のスタイルです。
レジャー無線は聞こえてきた通話内容と、目の前にいる無線の使用者の行動が一致する面白さがあるのです。周波数を見つけ出すというアクティビティが、若い受信マニアに受け入れられて人気のジャンルへと成長していきました。
レジャー無線の受信は先取り感が魅力
また、レジャー施設が受信対象となるので、遊びに行ったついでに受信できるのも魅力。そして、聞こえてくる内容が時として役立つ情報になることもあります。
例えば「本部から各アトラクションの待ち時間を送ります。サンダードルフィンが30分、スーパーバイキングが20分…、となっています。お客様へのご案内をよろしくお願いします」といった具合です。
レジャー無線は、テーマパークではアトラクションの待ち時間が分かったり、イベント会場の舞台裏がのぞけるなど、受信の魅力である“先取り感”も満喫できます。このように休日のお出かけが楽しくなるのがレジャー無線なのです。(文/さとうひとし)
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