先日メディアで話題になったのが、NHK受信料に関連した「テレビ未設置届」という仕組み。これはNHKが提案をしたもので、NHKを管轄している総務大臣は記者会見で、提案を「言語道断」と切り捨てています。しかし、NHK側がこの仕組みを求める理由自体はあり、テレビを持たずNHKと
受信契約を結ばない人にとってもメリットがあるのです。
NHK集金人の訪問を受け続けてしまう
「テレビ未設置届」という仕組みが話題になったのは、総務省が2020年10月16日に開催した、
NHKに関する有識者会議上のことでした。
NHKが提出した資料によると、このとき合わせて
NHK側が提案した「テレビ受信設備の設置届出」の方は義務化を求めているのに対し、テレビ未設置届の方は義務とは書かれていません。
NHK
受信契約に限らず、民法上の契約は物品やサービスの提供とその対価についてを定めるものです。NHKと
受信契約を結んでいないのにNHKへ届出を出すとなれば、契約の範囲を超えるものとなるため、現在の放送法の
受信契約や受信料について別な枠組みが必要となります。
しかし、NHKが「テレビ未設置届」を集めることができるようになると、正当にNHKと
受信契約を結んでいない世帯側にもメリットがあるのでした。というのも現状、NHK
受信契約を結んでいない世帯は、契約しない理由があっても何度も繰り返しNHK集金人の訪問を受け続けてしまうからです。
NHK集金人は定期的に転居を確認する
NHK
受信契約を結ぶために未契約者を訪ねるNHK集金人は、「手持ちの
受信契約者リストに載っていない世帯をひたすら訪ねる」という手法で契約を取り付けています。このようなアナクロな活動になってしまう理由は、NHK側が未契約者のリストを持っていないためです。
NHK側は、
受信契約を結んでいない世帯については氏名などの個人情報を詳細には把握していません。また、NHKが未契約者の住民票を勝手にとることは、住民票に関する法律「住民基本台帳法」の規定上行えません。
そのため、本来はNHK
受信契約が必要ない世帯であっても、前回訪問時と別な世帯が転居してきたかを確認するため、定期的にNHK集金人が訪れることになるのです。逆に、訪ねられる側の世帯からすれば、必要ないNHKからの訪問を何度も受けることになり迷惑だという話になります。
「テレビ未設置届」の仕組みができれば、NHK
受信契約を結ばない世帯がNHK集金人の無駄な訪問を受け続けないで済むことになるはず。とはいえ、実現には放送法の改正は必須で、個人情報の取り扱いをどうするかなど実現までのハードルは高く、短期間で実現する可能性は低いでしょう。
【関連リンク】
\ この記事をシェア /