以前に中国の自転車シェアリングの事情を紹介しましたが、ある程度期間が経ったので、2017年6月の最新事情をご紹介したいと思います。
■ofoとmobikeの2強時代
最新のアクティブ浸透率(チーターラボ独自の指標)を見るとofoが1%で第1位の座をとり、mobike(摩拝)は0.7%で第2位と続いています。第3位は「小藍」自転車であるものの、アクティブ浸透率は0.07%と大きく離されています。自転車シェアリング業界には数十社も参入しているとはいえ、実施的にはofoとmobikeの二強による寡占市場です。
図1、mobile VS ofoの週次open回数
図2、ofo VS mobike アクティブ浸透率推移
図1に注目すると、オレンジ線のmobikeのアプリのopen回数は青い線のofoよりも多く、これはmobikeがユーザーの使用頻度の観点で優れていることを意味しています。
図2より、2017年3月までのアクティブ浸透率の指標でみると、mobikeがofoを上回っていました。しかし、3月を境目に順位が逆転しofoが首位となりました。この背景に、ofoが2017年3月に4.5億ドルの資金調達を果たし、大規模な無料使用や割引クーポンといったプロモーションをしたのが要因だと思われます。
また、2017年6月、mobileはテンセントなどから6億ドルを調達しました。これで累計10億ドルの資金調達をしたことになり、評価総額20億~30億ドル規模になりました。ライバルのofoもちょうど20~30億ドルの規模感で、名実ともに市場の2強です。
製造コストの側面でみるとofoは一台あたり300元で、mobikeに比べ格安です。mobikeの中の下位モデルのmobike liteでさえ500元のコストを要します。製造コストが安いメリットとしては、同じ投資額に対してより多くの台数を製造できるので市場を開拓していく現段階のフェーズではかなり強いことになります。一方、mobikeにはスマートロックが搭載され、自転車の位置情報を取得することが可能になりました。このスマートロックによって膨大なデータがたまりますので、今後様々なサービスの可能性が広がります。テンセントがofoではなくmobikeに投資した理由は、ofoはテクノロジー主導のサービスではないと判断したからです。たかが自転車の鍵ですが、データがたまるか溜まらないかの違いで、今後大きな差が出てくるかもしれません。
このように、直近の動きを見る限りでは、両社ともそれぞれ強みがあるため、現時点ではどちらが勝者となるかはまだ不明瞭といえるでしょう。
■自転車シェアリングの今後
自転車シェアリングサービスは老舗の自転車メーカーに大きな恩恵をもたらしましたが、自転車店などにとっては顧客減となるため、とてつもない災難であるのは明らかです。また、人々の短距離移動にも変革をもたらしました。
現在この上なく勢いを見せている自転車シェアリング市場ですが、公共のスペースが犠牲にされることで急激にサービス拡大を果たしていることを無視していけません。これから政府の管理条例が整備されるにつれ、基準に満たさない業者は余儀なく市場を撤退させられると思われます。
6月13日、悟空自転車が市場から撤退すると発表され、最初の脱落者となりました。これからの競争がより一層厳しいものになると推測され、半年後、下図のサービスの中で、サバイバルできるのは何社あるか予想もつきません。