現在、少子高齢化による人手不足が深刻化する中、特にデジタル人材の採用が困難な状況が続いています。このような背景の中、IT分野での需要は増加しており、新たな技術、特にAI(人工知能)開発スキルの習得が求められています。株式会社アクセラリージェンシーが実施した「プログラミング言語の利用状況と習得意欲」に関する調査をもとに、プログラマーの言語選択やスキル習得の実態を深掘りします。
本調査は2024年9月24日から10月28日の間に実施され、業務でプログラミングに従事する20歳から60歳以上の男女213名を対象にしました。調査はインターネットによる任意回答形式で行われ、以下の質問が含まれています。自身に最も当てはまるプログラマーのタイプ、案件で使用する頻度が高いプログラミング言語、使用が少なくなってきたと感じるプログラミング言語、新しい言語を習得するタイミング、現在最も欲しいスキルなどです。
調査結果によれば、今回協力いただいたプログラマーの中で最も多かったのはデータベース関連職でした(23.0%)。しかし、世代別で見ると、20代ではAI開発が最も多く、逆に60代以上ではプロジェクトマネージャー職が圧倒的に多いことがわかります。このように、プログラマーのキャリアパスや専門性には、年齢による明確な偏りが見られます。
調査において、最も使用されるプログラミング言語は「Java」で全体の21.6%を占めました。C++(20.2%)やPython(20.2%)も同様に人気がありますが、特に男性と女性では異なる人気の傾向が見受けられます。男性はC++を選ぶことが多いのに対し、女性はJavaを重視する傾向があります。また、年齢層による使用言語の違いも顕著で、50代ではSQLが圧倒的に多いというデータが得られました。
調査で「この1年で使用が少なくなった」と感じる言語のトップはC++(15.0%)で続いてC#(14.6%)でした。これらの言語はかつては広く使用されていましたが、情勢が変化する中でその使用頻度は明らかに減少しています。一方で、Pythonは10.8%の回答を得ており、AI関連の言語として根強い支持を持っています。このような動向は、今後のプログラミング言語選択においての傾向を示唆しています。
調査の中で、新しい言語を習得する際のタイミングについて、男女での回答が分かれました。男性は「自分の興味」を重視する一方で、女性は「将来の案件のため」に新しい言語を学ぶことが多いとしています。このことから、プログラマー間での自己学習意欲の差が見受けられましたが、全体的には案件作業中に新しい言語を習得する傾向が強いようです。
本調査を通じて、プログラミング言語の人気やAI開発に対するスキル習得の必要性が浮き彫りになりました。特にC++の使用頻度の減少や、Javaの頑健な人気、そしてAI開発に対する関心の高まりが顕著でした。このことは、デジタル人材育成の際に特に注目すべきポイントであると言えるでしょう。今後の技術進化の中で、プログラマーたちがどのように適応し、成長していくかが大いに期待されます。
執筆:熊谷仁樹