「人生100年時代」と言われる今、50代はもはや“終わり”ではなく“次のスタート”の入り口です。とはいえ、長年会社にキャリアを預けてきた“就社世代”にとって、自分で未来を描くことは簡単ではありません。セカンドキャリアに踏み出せないのは、情熱が足りないからではなく、これまでの常識が大きく変わったから。変化の時代に立つ50代の「いま」と、動き出すためのヒントを考えます。【会社員から社会人へ!50代からのキャリア実践ガイド#1】
セカンドキャリア、動けないのは情熱がないからじゃない
はじめまして。Dialogue for Everyone株式会社で「セカンドキャリア塾」を運営している大桃綾子と申します。突然ですが、皆さんは「セカンドキャリア」と聞いて、どんなことを思い浮かべますか? 将来への不安、何から始めたらいいか分からないという戸惑い、もしくは少し面倒だな…という気持ちかもしれません。私が先日お会いした方は、「何か始めなきゃと思いながら、気づけばもう58歳になっていました」と話していました。まさに、そう感じている方は多いのではないでしょうか。
多くの方は、“考えざるを得ない”状況で動き出す
当社は創業以来、40〜50代のミドルシニアに特化したキャリア形成を支援しています。これまでに数千名の方にセミナーやプログラムを提供してきました。こうした方々に話を聞いたところ、「セカンドキャリアを考え始めたきっかけ」のトップ3は以下の通りとなっています。
- 役職定年
- 子どもの独立
- ご自身の病気や健康上の理由
(出所:Dialogue for Everyone調べ)
いずれも、主体的に選んだというより、「考えざるを得ないタイミングが来た」ことが始まりでした。
“会社にキャリアを預けてきた”就社世代
セカンドキャリアを受動的に考え始めるようになったのも無理もありません。今の50代が社会に出た1990年頃は、終身雇用や年功序列が前提の時代。転職は「裏切り者」と見なされる風潮すらありました。今となっては信じられないですね。
いわば「就社」がキャリアの出発点だったのです。入社後は会社の辞令に従って異動や転勤を重ねることが当たり前、むしろそれが良しとされる時代でした。それが50代に入り、定年というゴールを目前にして、人生100年時代が到来。「これからのキャリアは自分で考えて」と言われても、これまでの考え方とは真逆で戸惑いかねません。頭では分かっていても、気持ちが追いつかない。これが、多くの50代の「現在地」なのだと思います。

筆者プロフィール
大桃綾子
Dialogue for Everyone株式会社 代表取締役
1981年生まれ、新潟出身。三井化学にて人事・事業企画に約10年従事。トリドールホールディングスを経て、2020年創業、40代50代に特化したキャリア自律・越境学習プログラムを展開。 地方企業と都市部人材の副業マッチングサービスJOINS取締役、新潟県産業ビジョン2030委員、広島県呉市中小企業・小規模企業振興会議ワーキンググループ委員などを務める。プライベートでは2児の母。