近年、訪日外国人旅行者の数は急増し、特に韓国からの観光客は日本において非常に重要な存在となっています。2024年の予測では、韓国からの訪日旅行者数は65万人を超えるとされています(注1)。これは日本への短距離アクセスと、日本文化や旅行先への高い興味によるものです。クロスロケーションズのインバウンドデータ分析によれば、韓国人観光客は大都市だけでなく、地方都市や観光地にも広く分布していることが判明しています。さらに、韓国ではInstagramなどのSNSが主な情報源として利用されています。SNS上の口コミや評価は、旅行者の消費行動や訪問先選定に大きな影響を与えるため、この波に乗ることができれば、集客効果は飛躍的に向上します。このような背景から、クロスロケーションズはインフルエンサー活用によるマーケティングの重要性を認識し、クロスアイ社と手を組むことを決定したのです。
今回の提携により、クロスアイ社の強みであるインフルエンサーを活用した「旅マエ」と、クロスロケーションズの得意とする「旅ナカ」を結びつけた新たなマーケティングサービスが始まります。この新サービスでは、次のような施策が展開されます。まず、クロスアイ社の韓国人インフルエンサーが、SNSを通じて日本の観光スポットや商品を発信します。その影響力を使って、自然な形で訪日旅行への興味を喚起し、消費者の心をつかむことが可能となります。また、クロスロケーションズは、リアルタイムの位置情報データを駆使して、日本滞在中の韓国人旅行者に向けたターゲティング広告を配信します。スマホアプリのバナー広告やSNS広告を通じたアプローチで、訪問を促進し、販売促進とブランド認知の向上を実現します。そして、GPSデータを利用した来店計測により、広告配信後の来訪者数がどのように変化したかを分析し、施策の効果を明確に示します。これにより、広告戦略の継続的な最適化が図れるのです。
この新サービスには幾つかの特徴があります。まず、訪日韓国人旅行者の行動データに基づき、最適なタイミングと場所で広告を配信することで、まさにターゲットを絞ったマーケティングが行えます。また、「旅マエ」でのSNS拡散から「旅ナカ」での来店促進までを一貫してサポートする多段階アプローチが効果的です。高精度のデータを活用し、旅行者の周遊傾向や購買行動の細かな分析が行えるため、より効果的なキャンペーン展開が可能となります。この新しい施策は、さまざまな業種に効果をもたらすことが期待されます。
旅行・観光業界では、インフルエンサーと連携し、観光地を紹介するキャンペーンを実施することで、旅ナカではバナー広告を通じてさらに訪問を促進します。飲食・流通・小売業界では、インフルエンサーによる店舗体験をSNSで拡散し、ターゲティング広告によって最寄りの店舗に誘導する流れが可能です。そして、消費財メーカーや食品メーカーにおいては、製品情報をSNSで拡散し、旅ナカでのスマホアプリ広告やSNS広告を通じて、各地の取り扱い店舗への訪問を促進します。
このように、クロスロケーションズとクロスアイ社の連携は、訪日韓国人旅行者に向けた新たな集客施策を実現するだけでなく、観光業界や小売業界全般にとっても大きな利益をもたらすと期待されます。今後の展開に注目です。
注1) 日本政府観光協会 2024年10月16日版 訪日街客統計より。
https://www.jnto.go.jp/statistics/data/_files/20241016_1615-1.pdf
【関連リンク】
クロスロケーションズ株式会社
https://www.x-locations.com/
執筆:小松由奈