インドは、デジタル時代の最前線でAI技術に力を注いでいます。インテリジェントなデータ基盤を提供するNetAppが発表した年次レポート「クラウドの複雑性に関するレポート」2024年版によると、インド企業の70%がAIプロジェクトを進行中で、これは世界平均の49%を大幅に上回る数字です。このデータは、インドがAIの活用においてリーダーシップを発揮しようとしていることを如実に示しています。本記事では、インドのAI国家戦略とその影響に焦点を当て、今後の展望について探ります。
インドのAIプロジェクトの活発さは、同国の若い人口に起因している部分も大きいです。年齢中央値が28.4歳という若さは、テクノロジーの吸収力や新たな技術に対する適応力の向上に繋がっています。特に、91%のインドの組織が2024年内に自社のデータの半数以上をAIモデルの学習に利用すると回答しており、これは企業のデータ活用の意識が高まっていることを示しています。
このような流れは、インド政府が推進する「デジタル・インディア」や「AI国家戦略」といった政策の影響も大きく、この政策に基づいてデジタル技術の導入やデータ活用が加速しています。AI技術は、医療、金融、製造業など様々な分野でのイノベーションを促進し、経済成長に寄与することが期待されています。
インド政府のデジタル改革の一環として、AI国家戦略は国家戦略の核心となっています。政府は、AI技術の研究開発を促進し、ビジネス環境を整備することで、企業がAIを効果的に活用できるようにしています。AI技術の育成には、教育制度の充実や、企業との連携強化が必要です。このような取り組みにより、AI技術の開発だけでなく、それに欠かせない専門的な知識を持つ人材の育成も進められています。
さらに、インド政府はAI業界への海外からの投資誘致にも力を入れています。国際的な企業とのパートナーシップを築くことで、国内のAIエコシステムを育成し、国家全体の発展に寄与することが狙いです。急成長するAI市場とその背後にいる若い人口の可能性は、今後のインドにおけるAI技術の革新を促進する重要な要素です。
AIプロジェクトの進行状況や国の戦略から得られる知見は、他国にとっても大いに参考になるでしょう。インドが描くデジタル未来には、多くの期待が寄せられており、その進展を注視していく必要があります。
執筆:小松由奈