2024年の調査により、約80%の企業がBPaaS(Business Process as a Service)を詳しく理解していないことが判明しました。この調査は、クラウド型人事労務システム「ジンジャー」を提供するjinjer株式会社が実施したもので、企業の人事担当者421名を対象に行われました。調査結果からは、BPaaSの必要性とその導入状況が明らかになりましたが、意外にもその認知度が低いことが浮き彫りになりました。BPaaSは、SaaS(Software as a Service)とは異なり、業務プロセス全体を外部に委託し、企業の業務効率化を目指すサービス形態です。しかしながら、多くの企業がBPaaSの利点や使い方を知らず、SaaS導入に留まっている現状が見られます。
調査によると、BPaaSを「全く知らない」と回答した割合は約60%、また、「聞いたことがあるが、詳細を理解していない」と答えた企業も約21%に上ります。これは企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の進展を妨げる要因となる可能性があります。従来からの働き方の変革が求められる中、業務を効率的に行うための新しい手段としてBPaaSの普及が急務であると考えられます。
しかし、利用実態を見ると、約50%の企業がBPaaSを「利用している」または「今後導入を検討している」と回答しています。この中で、「工数削減につながるため」が最も多い理由であり、次いで「コスト削減のため」や「社内に運用するノウハウが無いため」といった回答が目立ちました。BPaaSを導入している企業の約80%が業務効率が「向上した」または「大幅に向上した」と述べており、BPaaSの導入が実際に業務生産性の向上に寄与していることが示唆されています。
ただし、BPaaSを利用する中での課題も多く、特に「利用コストが高い」という声が49.5%を占めています。また、「セキュリティ面に不安がある」との意見も47.3%に上るなど、企業の導入をためらわせる要因も存在します。これらの課題をクリアすることで、BPaaSの利用がさらに進む可能性があるでしょう。
業務領域別に見ると、特に「会計・財務管理」や「人事労務管理」でのBPaaSの利用が進んでいることが分かりました。具体的には、会計業務としては経費精算、決算業務、請求書発行などがあり、人事業務では入社・退社手続き、勤怠管理、給与計算などが多くの企業でBPaaSが活用されています。
今後もBPaaSの認知度向上が求められます。企業が老舗システムや手作業での業務プロセスから脱却し、効率的な業務運営を目指すためには、BPaaSを最大限に活用できるような教育や制度の整備が重要です。このような施策があれば、企業はDX推進により一層積極的に取り組むことができるでしょう。BPaaSの成功事例や導入効果を広めることで、企業のBPaaS導入が進むことが期待されます。
【関連リンク】
jinjer株式会社
https://jinjer.co.jp/
執筆:DXマガジン編集部