武蔵野大学国際総合研究所は、2024年5月から「グローバルサウス研究会」を実施し、グローバル・サウスの台頭に伴う新たな国際秩序の基本的方向性を示すビジョンの策定を進めてきました。その成果として取りまとめられた政策提言集「悉皆成長のための多様性経路」は、2024年11月11日、12日のT20サミットにおいて配布され、同月13日のT20サイド・イベント・セミナー及びG20 Social Summitでは「Fortifying Global South Economies through Dynamic Governance Solutions」のテーマで発表されました。
国際社会の現状には、グローバル・サウス諸国の急速な台頭が影響を与えており、従来の先進国(グローバル・ノース)と発展途上国(グローバル・サウス)とを明確に区分することはもはや無意味になっています。この変化を受けて、武蔵野大学国際総合研究所は、グローバル・サウスの独自の発展経路を重視した政策提言を作成しました。SDGsのスローガンである「No One Left Behind」を基に、全人類が平等に成長するための方策が検討されています。
提言集の中核となるテーマは、アジアやアフリカの内生的な近代化能力の認識にあります。報告書では、近代化の経路として、西欧型経路だけでなく、各国の文化や社会的背景に応じた多様な進化が重要であることを示しました。これにより、全ての国々がそれぞれの特性を生かした発展が可能となることを目的としています。
報告書には、地球が直面する10の重要な政策課題が設定され、グローバル・ノースとグローバル・サウスの共通課題として整理されています。具体的な政策提言を提示することで、持続可能な未来の構築を目指しています。環境問題、発展戦略、社会セクターの各領域での具体的なアクションプランが提案され、参加国に配布された要約版は、国際的な情報共有の促進と理解を深めるために大いに寄与すると考えられています。
武蔵野大学は、内閣官房や外務省を含む様々な政府機関や国際協力機関からの参加を受けて、活発な議論を重ねています。これにより実際の政策形成に向けた具体的なインプットを提供し、実効性のある国際協力の枠組み作りに寄与することが期待されています。
今回の提言は、国際秩序を変革するための礎となり、世界中の国々が共生しながら多様性の中で成長するための新たなアプローチとして位置づけられています。武蔵野大学国際総合研究所は、引き続き国際的な舞台での発信力を強化し、社会課題を解決するための知見を提供し続けるでしょう。詳しくは「学校法人武蔵野大学」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部海道