ロンドン発のディープテックデータ企業「Zeki」が最新のグローバルレポートを発表し、ディープテック分野における欧州と北米間の人材争奪戦が激化していることが明らかになりました。このレポートによると、米国は英国の3倍のディープテック企業を生み出していますが、欧州のスタートアップ企業は、より高度なスキルを持つ人材を多く雇用している点が注目されています。
主な調査結果は以下の通りです。
政府投資の効果に限界
2020年以降、欧州と北米のディープテック企業の設立ペースが減速。各国政府は多額の投資を行っていますが、市場統合や資本コストの逆風により、その成果は限定的です。
米国のスタートアップが欧州を上回る成長スピード
米国のディープテックスタートアップは、欧州の同業者に比べて2倍の速さで成長しています。
バッテリー技術の崩壊
再生可能エネルギー分野は、2019年から始まった人材流出が続き、特にバッテリー技術分野が打撃を受けています。
中国人材の流出
中国のディープテック人材が欧米企業から流出し、中国国内の企業に移る動きが加速しています。
Zekiのレポートは、ディープテック分野における人材の重要性を強調しています。高度な科学技術分野の人材はディープテック企業にとって最も重要な資産であり、各国はこの限られた人材を引きつけ、維持するために激しい競争を繰り広げています。特にソフトウェアエンジニアリングの分野で、半導体や防衛企業がトップクラスのエンジニアを争奪していることが明らかになりました。
このレポートは、欧州および北米の6,100社以上のディープテック企業と、そこに所属する約9百万人の雇用者を調査し、そのうち高度なスキルを持つ約22万人に特に注目しています。これにより、各地域の企業がどのように人材を活用してイノベーションを推進しているかを詳しく分析しています。
Zekiデータは、ディープテック企業の将来性を評価し、投資および人材獲得に関する貴重な指針を提供しており、このレポートもその一環です。
執筆:海道理彩