2024年8月16日、ポスタス株式会社は「POS+(ポスタス)」による7月度の飲食店売上動向について、POSデータを基に集計した結果を発表しました。ポスタスは「はたらいて、笑おう。」というビジョンのもと、飲食業界の変化や実態を積極的に発信し、店舗運営の支援策を検討・提案していく方針です。本記事では、リリースを基に7月の飲食店売上動向を詳しく解説します。
調査によると、2024年7月の飲食店売上は前年同月比で98.3%となり、約2年半ぶりに100%を切りました(図1)。この数字は前年同月に対して約6ポイントの減少を示しており、長期的には成長を続けているものの、回復のペースが鈍化していることを示唆しています。この動向は業界全体の変化を受けたもので、特に外食シーンにおいての小売やサービスの変化が影響を及ぼしていると言えるでしょう。
地域別に見ると、7月の売上伸長率(地方平均)は100.5%と、前月から0.7pt増加していますが、各地域によりその伸びは異なります(図2)。特に東北地方は前年対比で97.2%と、全国平均を下回る結果となったことが際立っています。都市部では新型コロナウイルスの影響から徐々に回復している一方で、地方では依然として厳しい経営が続いていることが明らかです。
2024年7月の全国キャッシュレス決済比率は48.7%と、前月から0.1ポイントの減少を見せました(図3)。これにより、すべての地域でキャッシュレス決済比率は30%を超える結果となり、業態別に見ると35%以上となっています。このデータは、キャッシュレス社会の進行を示している一方で、回復傾向にある飲食店においても依然として現金の使用が根強いことを示しています。
特に持ち帰り業態において、コード決済の比率は14%となり、消費者が便利さを求める中でのキャッシュレス決済の導入が進んでいることが分かります。業種別では、寿司やフランス料理などの高級志向の店舗で60%を超えるキャッシュレス決済比率を記録しており、この傾向は今後も続くことが予想されます。
7月の飲食店業態別キャッシュレス決済比率については、すべての業態で35%以上を記録しています。特に専門料理におけるキャッシュレス比率は56.1%に達し、業種の中で最も高い数字となりました(図4)。また、食事系や軽食ジャンルでも増加傾向が見られ、多様なお客さまのニーズに応じた柔軟な決済手段が求められていることが裏付けられます。
全国的には、キャッシュレス決済方法としてクレジットカードが78.5%、コード決済が15.7%となっていますが、特に専門料理業種においての現金利用が未だに51.3%と高いことからも、併用しながら利便性を感じていることが伺えます。このようなデータは、店舗運営実務においても重要なポイントとなるでしょう。
ポスタス株式会社の飲食店売上動向レポートは、日本の外食産業における現状や消費者の行動を詳細に反映しており、各業態での動向は経営戦略を考えるにあたって有意義な情報源となります。新型コロナウイルスの影響や、消費者のライフスタイルの変化により、売上の回復に向けた道のりは依然として厳しいですが、キャッシュレス決済の普及や、エリア別の戦略を持つことで未来への可能性を広げることができます。
ポスタスは、今後も飲食店に対して、実態を把握しながら情報を発信していく方針です。業界関係者は、この調査結果を踏まえ、さらなる成長と顧客満足度向上に向けた戦略を模索していくべきでしょう。