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V字回復の真相…アシックスの急成長を引き起こした○○の変革とは⁉(前編)


2021年、アシックスは急成長を遂げ、3期連続で最高益を更新する見込みです。この復活の要因は、COO富永満之氏が主導したDX(デジタルトランスフォーメーション)推進によるものです。アシックスは「健全な身体に健全な精神があれかし」という創業哲学に基づき、スポーツ市場での競争力を取り戻すことを目指しています。 ランニングシューズの需要減少やEコマースの重要性を認識した富永氏は、会員制プログラム「OneASICS」を通じて顧客との接点を増やし、Eコマースの売上を2018年の4.1%から2023年には17.9%にまで成長させました。また、グローバルな基幹システムを統合し、サプライチェーンの最適化を図っています。この施策により、生産管理と在庫管理の効率化が進み、DXの成果が顕在化しています。

世界のスポーツ市場で確固たる地位を占めるアシックス。2021年にはV字回復を遂げ、3期連続で最高益を更新する見込みです。このV字回復からの急成長は、代表取締役社長COOである富永満之氏のDX推進による変革が実を結んだことが大きな要因です。第1弾では、富永氏はなぜ変革に踏み込んだのか。DX推進により業績を牽引する富永氏の思いについて、日本オムニチャネル協会専務理事の林雅也氏と理事の逸見光次郎氏が切り込みます。

DX推進が実を結んだV字回復

:アシックスはどんなビジョンを掲げているのか教えてください。

富永:アシックスは、「健全な身体に健全な精神があれかし」という創業哲学を中心に据え、誰もが一生涯、運動・スポーツを通じて心も体も満たされるライフスタイルを創造することを目指しています。トップアスリートだけでなく、スポーツを愛するすべての人向けにスポーツシューズやスポーツウエア、スポーツ用具などを製造販売しています。より多くの人々のニーズに応える製品・サービスとステークホルダーとの価値共創を通じて、ブランドを世界中に広げています。

:アシックスは今や世界のスポーツ市場で確固たる地位を占めるスポーツブランドに成長しました。あえてDXに取り組もうと決めた理由を教えてください。

図1:2000年以降のアシックスの売上推移

富永:2015年までは業績が好調で右肩上がりでした。しかし、2018年ごろから製品の競争力が下がったことでお客様から次第に選ばれなくなり、業績は悪化。当社ではランニングシューズが売上の半分を占める主力製品となっていますが、そのシューズが市場のニーズに合わなくなっていたのです。もっとも顕著に表れたのが2021年のお正月の駅伝で、ランナーが誰一人としてアシックスのシューズを履いていませんでした。加えて当時は、海外企業や競合他社に比べてデジタルの取り組みが遅れていました。新型コロナウイルスの影響もあり、実店舗の営業が出来なくなる中で、Eコマースで売れなければ会社が存続できないのではないか、という危機感も高まっていました。

:製品の競争力低下が課題な上に、Eコマースの売上を伸ばす必要があったのですね。その後、Eコマースの売上割合はDX推進を始めた2018年の4.1%から、2023年には17.9%にまで増加しています。具体的にはどのような取り組みを断行したのでしょうか?

富永:「OneASICS」というメンバーシッププログラムを軸にしたDX推進に舵を切りました。実際に、「OneASICS」の会員数の増加とEコマースの売上拡大は比例関係にありました。そのため、お客様とのタッチポイントを増やすことに重点を置いた施策を展開していきました。

さらに基幹システムにもメスを入れ、グローバルの基幹システムを統合してサプライチェーン最適化を目指しました。世界で分散する仕組みを一元化し、経営の見える化に踏み出したのです。

図2:「OneASICS」によりお客様とのタッチポイントを拡充し、獲得したデータをもとに需要予測や生産計画、在庫管理の最適化を実施

逸見:オムニチャネルというと、顧客体験などのフロントシステムの話になりがちです。一方、基幹システムなどのバックシステムは巨額の投資がネックとなり、「既存システムを延命できないか」という話に帰着しがちです。グローバル展開する企業の中には、POSをグローバルで統一しても基幹システムである生産管理を統一できないケースが多く見られます。

:その通りです。バックシステムは情報システム部門が担当し、フロントシステムはマーケティング部門が担当といった具合に管理部署が異なるケースは少なくありません。アシックスでは別部署が管理しがちなフロントとバックシステムの統合に踏み切ったわけですね。富永さんのように全体最適を見据えることは非常に重要だと感じます。
(写真撮影:逸見光次郎)

前編はここまで


株式会社アシックス
https://corp.asics.com/jp

一般社団法人日本オムニチャネル協会
https://omniassociation.com/


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