
Amazonと日本YMCA同盟が連携し、若者のキャリア支援と高齢者のリスキリングを同時に進める新プログラムを開始しました。世代を超えた学びと実践で、地域のデジタル格差解消を目指す取り組みの中身を報告します。
10月開催ワークショップが示した“世代共創”の可能性
2025年10月5日、東京・目黒のAWS Startup Loft Tokyoで行われた初回ワークショップは、Amazonと日本YMCA同盟の協業スタートを象徴する場となりました。会場には高校生や児童養護施設で暮らす子どもたち、そして60〜70代のシニアが集まり、AWS社員やYMCAの大学生メンターの支援を受けながら最新テクノロジーに触れました。参加者は受付で歓迎を受けた後、「Cloud Camp for Builders!」と「生成AI体験ワークショップ」の2プログラムに分かれて学び、世代を超えた対話と共同制作が自然に発生しました。
Cloud Camp for Builders!では、高校生がAWSのクラウドサービスを使ったセンサー連携のプログラミングに挑戦しました。ンサーで心拍数を計測し、そのデータを分析して緊張状態を検知する仕組みの制作を通じ、機器の取り扱いからコーディング、データ解析まで実務に近いスキルを学びます。参加者は初めての工程に戸惑いながらもメンターと協力して課題を解決し、完成時には大きな達成感を得ていました。ボランティアとして参加したAWS社員の大西玲子さんは、教える側にも学びがあると述べています。
生成AI体験ワークショップでは、高齢者と児童養護施設の子どもたちがチームを組み、生成AIを活用してオリジナル絵本を制作しました。物語のプロット作成、AIによる挿画生成、レイアウト、そして印刷に至る一連の工程を体験し、世代間の発想を融合させることで個性的な作品が生まれました。参加した福田奈里子さんは「初めての生成AI体験が楽しく、今後も挑戦したい」と話し、リスキリングへの意欲を示しました。
会場にはVR体験コーナーも設けられ、AWSデータセンター内部をバーチャルに見学するプログラムを通じて、インフラの理解を深める機会も提供されました。日本YMCA同盟代表理事の田口努さんは、児童養護施設の子どもたちが経済的要因で触れられるデジタル機器が限られる現状を指摘し、プログラムが進学や就職での不利を緩和するうえで重要だと強調しました。Amazon公共政策部門バイスプレジデントのブライアン・ヒューズマン氏も来日し、テクノロジーの知見とYMCAの地域基盤を組み合わせた継続的支援の方針を示しました。
本連携は、若者向けのデジタル・キャリア支援と高齢者向けのデジタル・リスキリングを全国のYMCA拠点で展開する計画です。具体的には、児童養護施設の若者に物流施設見学やAIツール体験を提供し、高齢者には地域センターでの60〜70代向けデジタル学習と大学生メンターによる世代間交流を促進します。加えて、Think Big Spaceへの大型モニターやSTEM教材の寄贈など、地域で継続的にべる場づくりも進められています。
詳しくは「Amazon」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部 權
