
JR九州とヤマト運輸は、2025年10月1日から福岡空港国際線ターミナルで預かった手荷物を新幹線とトラックで熊本・鹿児島の宿泊施設へ当日配送するサービスを開始します。客混載を活用したこの取り組みは、観光客の利便性を高める新たな物流DXの実例です。
新幹線×トラックで実現する当日配送の仕組み
福岡空港の国際線ターミナルにあるヤマト運輸の宅急便カウンターで預かった手荷物は、まずヤマト運輸のトラックでJR博多駅へ搬送されます。そこで新幹線に積み替えられ、貨客混載の形でJR熊本駅とJR鹿児島中央駅へ輸送されます。各駅到着後は再びヤマトのトラックに載せ替えられ、最寄りの営業所を経由して対象の宿泊施設へ、18:00以降に届けられます。受付は毎日7:30〜11:00で、開始日は2025年10月1日です。料金は宅急便運賃(持込割適用)に加えて2,200円(税込)となり、荷物サイズは縦・横・高さ合計200cm以内、重量30kgまでが対象です。支払いは現金、電子マネー、QRコード決済、クレジットカードに対応します。
このサービスは、JR九州がヤマト運輸からの運送委託を受けて輸送する形で運営されます。背景には、九州を訪れる観光客数の回復と増加傾向があります。福岡空港では2025年3月に第2滑走路の運用と国際線ターミナルのグランドオープンがあり、さらなる渡航者増が見込まれます。こうした需要を見据え、両社はターミナル内に利便性を高めるカウンターを設置しており、今回のサービスは「手ぶら観光」を加速させる狙いがあります。過去には当日の朝焼きたてパンを近隣駅周辺へ即日配送する実証も行っており、日持ちの短い食品や鮮度を重視する品目の即日輸送ノウハウが蓄積されています。
この仕組みは、観光体験の価値を高めるだけでなく、物流側にも効率化と新たな商圏創出をもたらします。新幹線を使った貨客混載は高速長距離輸送の短縮と輸送回数の最適化につながり、トラック輸送だけでは難しい時間帯や距離での即日配送を可能にします。両社は今後、受付場所の拡大などでサービスの幅を広げ、観光需要に合わせた運用を検討するとしています。利用者にとっては、到着後すぐに観光に出かけられる利便性が魅力となり、宿泊先でスーツケースを待つストレスが軽減されます。
詳しくは「ヤマト運輸株式会社」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部 權
