IOWN×Perfumeの世界初3D空間ライブで、パナソニックのIT/IPプラットフォームKAIROSが高解像度4Kのリアルタイム3D伝送を支え、制作を“1台化”しました。舞台裏での技術革新が現場の負担をどう変えたのか、驚きの仕組みを解説します。
KAIROSが1台で映像ワークフローを完結、IOWNで4K3Dをリアルタイム伝送

NTTが2025年4月に実施した「IOWN×Perfume」3Dライブパフォーマンスにおいて、パナソニック エンターテインメント&コミュニケーション株式会社のIT/IPプラットフォームKAIROSが導入され、世界初となるIOWNを活用した高解像度4Kのリアルタイ3D映像伝送を支えました。本ライブはヒビノ株式会社を通じた採用で、IOWNネットワーク経由の非圧縮・低遅延伝送と組み合わせることで、従来困難とされた没入型3D演出の実現に成功しています。なお、この演出の体験は大阪・関西万博のNTTパビリオンで来場者が追体験できる展示として公開されています。
KAIROSは、12G-SDI×2入力の複数3Dカメラ映像をスイッチングし、サイドバイサイドやトップアンドボトムなど多様な3D形式へ変換・出力できる柔軟性を発揮しました。SDI入出力ボードを介してSDI機器と補正システム間のシームレスな切替を行い、SDI⇔IPの低遅延変換でIOWNへ送出。スイッチング、色調整、フォーマット変換、遅延調整、IP変換といった処理をKAIROS 1台で完結させ、設置スペースと運用負担を削減しました。オープンアーキテクチャにより他社制御アプリや既存の映像・音響システムとの連携も可能です。ヒビノのテクニカルディレクター日野恵夢氏は「さまざまな要素の高精度の同期が求められる状況において、KAIROSは1台で調整を完結でき、設置や管理の負担が減ったことで演出に集中することができた」と語っています。
本取り組みは技術実証として社内外での検証を経て公表されたもので、パナソニックはKAIROSを核に放送・映像制作現場のリモートプロダクション推進と「撮る・創る・映す」のワークフロー改革を進めると表明しています。制作現場の時間・場所・リソースの制約を解放し、業務効率化と映像クオリティの両立を目指す試みとして、DXの実践例となるでしょう。
詳しくは「パナソニックグループ」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部 權