近年、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速する中、キリンホールディングス株式会社は「KIRIN Digital Vision2035」(以下、KDV2035)に基づき、AI役員「CoreMate」を導入することを決定しました。この取り組みは、経営層の意思決定を支える重要なステップであり、多様な視点を取り入れることでイノベーションを促進し、社内の価値創造を加速することを目的としています。
CoreMateは、キリンホールディングスの過去10年間の取締役会及び経営戦略会議の議事録データ、社内資料、さらには最新の外部情報を学習し、12名の独自のAI人格を構築しています。このAI人格は、複数名での意見交換や論点の抽出を行い、リアルな経営戦略会議で利用されます。これにより、意思決定の質とスピードが向上すると期待されています。
キリングループは、KDV2035において「人がやらなくてよい仕事をゼロにする」と「人と共に価値を生み出す仕事を加速させる」という二つの柱を掲げています。この戦略のもと、CoreMateの導入は特に以下の二つの効果が期待されています。
1. 生産性向上
経営戦略会議において、AIとの事前の議論を通じて起案内容を精緻化することで、準備の効率化と会議時間の短縮を図ります。これにより、経営層や担当者はより多くの時間を価値創造活動に注力できるようになります。
2. 価値創造
CoreMateは、過去の経営知見に加え外部からの専門知識を継続的にアップデートすることで、経営議論の質を向上させ、高速な意思決定を可能にします。これにより、変化の激しい環境でも迅速なイノベーションが実現されるでしょう。
CoreMateはまず、グループ経営戦略会議で導入され、その後取締役会や他事業会社への展も予定されています。リアルタイムでの議論内容の可視化機能や、会話型のCoreMateの開発など、機能拡張も計画されており、キリングループ全体の意思決定の質やスピードを向上させる期待が高まっています。
キリングループのAI役員「CoreMate」の導入は、経営におけるデジタル化を推進する重要な施策であり、未来を見据えた企業戦略の一環として大きな意味を持つでしょう。この取り組みによって、キリンホールディングスはCSV(共有価値の創造)先進企業として持続的な成長を目指し、食やヘルスサイエンスにおける価値創造を加速させることが期待されます。
詳しくは「キリンホールディングス株式会社」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部小松