近年、多くの企業が高齢者の労働力を活用し始めています。特に65歳以上のシニア人材の採用が顕著に増加し、実際に非正規雇用でシニアを新たに採用した企業は44.8%に上ります。この数字は、高まる人手不足を背景にシニアを求める企業の姿勢を如実に表しています。
調査結果によれば、シニアを新たに採用した企業の44.8%が、直近半年間にその取り組みを行ったことがわかります。「配送・引越し・ドライバー(陸運)」業界では、平均採用人数が24.8人に達し、シニア人材は確実に狙い目の存在となっています。この動きは2024年の「働き方改革関連法改正」が影響を及ぼし、人手不足が深刻化する中でのものです。また、雇用形態別ではアルバイトの割合が最も高いことも特徴的です。
シニア人材が企業に求められる理由は二つあります。一つ目は、専門性が高く、経験が豊富であることです。実際、61.1%の企業が「専門性が高い」と回答し、シニアの知識やスキルが大きな価値を持っていると認識されています。二つ目は、採用基準に年齢が影響しないという企業の姿勢です。多くの企業が、年齢ではなく、その人の能力や経験を重視するようになっています。
業界によってもシニア採用の実態は異なります。例えば、清掃業界では71歳以上のシニアバイトを半年以上雇用している企業が34.3%に上り、最高年齢が73.2歳という結果が出ています。これは、体力や健康への配慮を持ちながら、彼らの経験や知識を活かすための工夫がされている証拠です。
シニア雇用の増加に伴い、企業側も労働環境の見直しを進めています。勤務時間や業務内容に柔軟性を持たせ、シニアが無理なく働ける環境を整えることが求められています。実際、体調を考慮した業務分配や勤務日数の調整を行う企業が増えており、これらの工夫によってシニア人材の労働環境が改善されています。
今後、シニア人材を採用したいと考えている企業は約6割に達します。この流れは、単に人手不足を補うだけでなく、豊富な経験や知識を活かす新たな資源としてシニア人材を位置付けることにつながっています。多くの企業がデジタル化を進める中で、シニアが持つ専門知識や技能は、デジタルツールを活用して新しい価値を生み出すチャンスを与えています。例えば、AIやデータ分析を活用することで、シニア人材の経験をデジタル環境でも活かす方法が模索されています。
シニア人材の採用は企業にとって、単なる労働力の補填ではなく、貴重な資源を得る機会と捉えられる時代が来ています。企業がシニアを受け入れることで、職場環境が多様化し、柔軟性のある組織づくりが進むことでしょう。シニア人材の活用は、持続可能な成長戦略ともなるのです。
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レポート/DXマガジン編集部小松