「AIが仕事を奪う」という悲観的な声が聞かれる一方で、AIスキルを持つ人々の給料が驚くほど上昇しているというデータが発表されました。PwCの最新調査が示すのは、AIが雇用を減らすどころか、新たな高収入の機会を生み出しているという意外な現実です。AI時代を生き抜くために、今、私たちが身につけるべきスキルとは何でしょうか？
AIスキルを持つ労働者の賃金が「56%」上昇！
PwCが2025年6月4日に発表した「2025 Global AI Jobs Barometer」によると、AIスキルを持つ労働者の賃金は、2024年に平均でなんと56%も上昇しました。これは前年の25%から2倍以上の上昇であり、AIが労働市場に与えるポジティブな影響を明確に示しています。
この調査は、AIへの露出度が高い職種でも求人数が38%増加していることを指摘しており、AIが雇用を減少させるという一般的な懸念とは異なる結果を示しています。むしろ、AIは人間の仕事を「拡張」し、より付加価値の高い業務へのシフトを促していると考えられます。AIの影響を受けやすい職種では、雇用主が求めるスキルが66%も速く変化していることも明らかになっており、継続的な学習とスキルアップの重要性が浮き彫りになっています。
AIの影響が大きい業界では、影響が小さい業界に比べて賃金が2倍の速さで伸びており、自動化可能な仕事と拡張可能な仕事の両方で賃金が上昇しています。AIスキルを必要とする仕事は、分析対象となったすべての業界で「賃金プレミアム」（AIスキルを必要としない類似の役割と比べて）も提供しており、平均プレミアムは昨年の25%から56%に上昇しています。
これは、AIを活用できる人材とそうでない人材の間で、賃金格差や雇用機会の格差が拡大する「労働市場の二極化」のリスクをはらんでいるとも言えます。AIが人間の能力を拡張し、より高いレベルの責任に集中できるようにする一方で、AIスキルを持たない人々は競争力を失う可能性があります。
PwCのグローバル・チーフAIオフィサーであるJoe Atkinson氏は、「AIによって雇用機会が激減するのではないかという懸念とは対照的に、今年の調査結果では、高度に自動化可能な職業も含め、AIに関連するほぼすべての職種で雇用が増加していることが示されています」と述べています。
詳しくは「PwC」まで。
レポート/DXマガジン編集部海道
