株式会社ジェイアール東日本企画、株式会社JR東海エージェンシー、株式会社JR西日本コミュニケーションズ、株式会社、JR西日本イノベーションズの4社が共同で実施した「東名阪交通系ICカード・デジタルラリー」が注目を集めました。この施策は、交通系ICカードを用いて鉄道車両の限定NFTを獲得するという新しい試みであり、デジタル体験とWeb3技術を融合させた内容が特徴です。本施策は、東名阪エリアの9か所を巡る形で実施され、参加者は自分の交通系ICカードをタッチすることで、鉄道車両をモチーフとしたNFTを手に入れることができました。約3,418人が参加し、3,954回のタッチが記録され、987個のNFTが発行されました。この結果は、日常的な行動を利用したNFTの導入が、参加者の興味を喚起することに成功したことを示しています。
約1,000個のNFTが発行され、全体の満足度は84.6%と高評価を得ました。特に、70%の参加者がに初めて触れるきっかけになったと報告されています。日常的な「ICカードのタッチ」という行為が、NFTやWeb3との接点となり得るという重要な示唆が得られました。鉄道という親しみやすいIPと、スタンプラリー形式が組み合わさることで、NFT未経験者の参加意欲が高まりました。特に、ゲーム性が自然にNFTの価値を伝え、参加者のモチベーションを向上させる要因となったことが認識されました。
一方で、Web3ウォレットの開設率は15.1%にとどまり、初回参加者にとっての心理的・操作的なハードルが影響したと考えられます。今後の施策では、より簡単で安心な導入方法が求められるでしょう。本施策では、参加者の行動特性や満足度についても詳細な分析が行われました。タッチデータやブロックチェーンのデータを活用し、参加者の関心を示すトレンドが見られました。特に、参加者が外出や広域的な移動を促されたことが確認でき、スタンプラリー形式のゲーム性が効果的に働いたことが示されています。
NFTやブロックチェーン技術が生活者への浸透に向けた足がかりとなることが示唆されました。今後は、異業種との連携を深め、NFTやブロックチェーン技術の社会実装を推進することが求められます。本施策を通じて得られた知見を基に、さらに多くの業界との協業を図ることで、より幅広いデジタル体験が可能になるでしょう。
JR系グループ会社4社による「東名阪交通系ICカード・デジタルラリー」は、NFT普及の新たな可能性を示す成功事例となりました。参加者の高い満足度や、鉄道IPとデジタル技術が生み出す親しみやすさは、今後の施策に大いに影響を与えることでしょうこれの成果を踏まえ、今後の取り組みがどのように進化していくのか、引き続き注視していきたいと思います。
詳しくは「西日本旅客鉄道株式会社」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部小松