近年、人工知能（AI）の普及が進み、特に学生の就職活動においてもその影響が顕著になっています。「2026年卒大学生キャリア意向調査」から、大学生たちがAIをどのように活用しているのか、その実態と背景を分析します。調査によると、AIを利用したことがある学生は82.7％に達し、これは2024年卒の39.2％から大幅に増加した結果です。特に、就職活動においては66.6％の学生がAIを活用しています。このデータからも、学生生活の中でAIの存在が身近になっていることが伺えます。
AIの利用方法として最も多く挙げられたのは、エントリーシートの推敲（68.8％）でした。その理由は、作業時間が短縮できること（62.6％）です。学生たちは、大量の情報を短時間で処理し、質の高いアウトプットを得るためにAIを効果的に活用しています。また、デジタルツールの進歩により、学生は自分の考えを簡単に整理、より良い結果を求める傾向が強まっています。
企業が選考にAIを利用することについての学生の意見は分かれています。適性検査に関しては、「使ってよいと思う」との意見が49.8％を占める一方、面接に関しては「使ってよいとは思わない」との意見が47.5％に上りました。この結果から、選考プロセスの中でAIの利用に対する認識が明確に異なることが示されています。特に、AIが客観的データを用いて判断する部分に期待が寄せられている一方で、人間らしさや感情を重視する面接には懸念が残ります。
面接の手法によって、学生の受験意欲は大きく変わります。対面面接やWEB面接に対しては受験意欲が高まる一方で、動画選考やAI面接では下がるとの結果が出ています。このことから、学生は対人コミュニケーションを重視していることがわかります。さらに、デジタル環境の中でも人との接触を求める傾向が強く、これには心理的な安心感が影響していると考えられます。
AIを「答えを教えてくれるもの」としてではなく、より良いアウトプットを得るための「補助ツール」として活用することが重要です。企業側も学生のAI利用意向を理解し、適切な評価方法を検討する必要があります。学生がAIを利用することで、自身の強みや志望意向を明確にし、応募先の企業に伝える手助けにもなっています。AIが学生の就職活動に浸透している状況は、今後ますます進化していくでしょう。企業や学生双方が相互理解を深め、AIを活用することで、より納得のいく選考プロセスを構築することが求められます。詳しくは「株式会社マイナビ」の公式ページまで。
レポート／DXマガジン編集部小松
