「通信はここまで来た!」──早稲田大学が挑んだのは、286.2GHzという超高周波帯。従来不可能とされた長距離・大容量の無線通信に、世界で初めて成功しました。6G時代の通信基盤を揺るがすその内容とは?
テラヘルツ×OFDMで「70m・8Gbps」の壁を突破
2025年4月、早稲田大学の川西哲也教授らの研究グループが、286.2GHz帯を用いた無線通信で72.4mの距離、最大8.19Gbpsの伝送に成功しました。
これは、OFDM(直交周波数分割多重)方式としては世界初の「70m超・高速伝送」達成です。従来の常識では、テラヘルツ帯でのOFDM通信は10m程度が限界とされてきました。
今回の成果は、複数の高利得アンテナと、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)やNTTが開発したRFデバイスを活用したことにより実現。さらに4系統のRF信号を空間的に合成する高度なビームフォーミング技術で、等価等方放射電力(EIRP)44dBmという高出力も達成しました。
この技術は、6Gで注目される地上・空・海のモビリティを網羅する通信ネットワークに応用されることが期待されています。研究グループは今後、MIMO化やビームステアリングの高度化にも取り組むとしています。
詳しくは「早稲田大学」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部 海道