物流業界は、2024年に施行される新しい法規制に直面しています。これを「2024年問題」と呼び、特に長距離輸送を行う多くの企業には大きな影響が予想されています。長時間労働の抑制や、物流業界全体の効率化が求められる中、関光汽船株式会社は新たな戦略として「東京九州フェリー」を用いた共同輸送を推進しています。これにより、コスト削減と環境負荷の低減を同時に実現しようとしています。
関光汽船は、長距離フェリー輸送のパイオニアとして、近年特に注目を集めています。同社が展開している東京九州フェリー(新門司港-横須賀港)を利用したトレーラー混載輸送によって、アパレル商社などへの輸送サービスを強化しています。この新しいモデルでは、中国の太倉港や山東省からの貨物を下関港に集約し、港から関東圏への配送を効率化しています。商社間で共通の荷物を一つにまとめてトレーラーで運搬することで、1台のトレーラーで複数の顧客に対する配送が実現し、この取り組みにより、トラック輸送の運行効率が向上し、空きスペースを有効活用することで物流コストを削減することが可能になります。
2024年問題は、ドライバーの長時間労働の抑制が発表され、物流業界全体に多くの影響を与えるとされています。関光汽船は、同問題を意識したカスタマイズされたソリューションを提供し、ドライバーの労働環境を改善することに貢献しています。特に、フェリーを利用することでトラック輸送の回数を減少させ、ドライバーの負担を軽減できる仕組みが整っています。また、関光汽船による新しい物流手法では、輸送部分のほとんどをフェリーに切り替えることで、CO2排出量の大幅な削減も期待できます。下関港から関東圏へのトラック輸送と比較して、約70%のCO2排出量削減が可能だとされており、持続可能性への配慮が高く評価されています。
特に、豊島株式会社、MNインターファッション株式会社、株式会社ヤギなど、多くの商社が関光汽船の共同輸送を取り入れ、その効果を実感しています。豊島株式会社では、東京九州フェリーを利用した関東向け輸入貨物のフェリー混載輸送の利用量が、開始当初と比較して2.75倍に増加しました。この実績は、環境への配慮を求める荷主にとって革新的なサービスとして受け入れられている証拠でもあります。
今後、関光汽船の共同輸送モデルをさらに広げることで、より多くの顧客に対するサービス提供が期待されます。商社が共通の顧客を持つことで効率的に貨物を運搬できるため、コスト削減と環境負荷低減の両立が可能になります。この取り組みは、単なる物流の効率化にとどまらず、日本全体のCO2排出量削減にも寄与する意義深いものとなるでしょう。関光汽船の新たな物流の取り組みは、持続可能な未来に向けた重要な一歩であり、これからの物流業界のモデルケースとして注目されています。最終的には、環境に優しい運送手段の提供を通じて、より多くの企業が参加し、次世代の輸送網が形成されることが期待されています。
執筆:香田雄大