犬の角膜潰瘍ってどんな病気?
犬の角膜潰瘍は、目の表面(角膜)に傷ができる病気で、放置すると急速に悪化しやすく、最悪の場合失明のリスクもあります。角膜は血管がないため、特に深い傷は治りにくく、適切な治療が必要です。
本記事では、角膜潰瘍の診断方法や治療法について詳しく解説します。
角膜潰瘍とは?傷が治りにくい理由
角膜潰瘍とは、犬の角膜(目の表面の透明な膜)に傷ができ、炎症や痛みを伴う状態のことを指します。目をショボショボさせたり、涙が増えたりする症状が見られ、悪化すると視力に影響を及ぼす可能性もあります。
角膜が傷つく原因
犬の角膜潰瘍は、さまざまな原因で発生します。
- 外傷:枝や砂、爪などが目に当たって傷つく
- ドライアイ(乾性角結膜炎):涙の量が少なく、角膜が乾燥して傷つきやすくなる
- 異物:まつ毛の異常生え(逆さまつげ)や異物が目に入る
- 感染症:細菌やウイルスが角膜に感染する。通常は、傷ができてから感染が起きることが多い
- 基礎疾患:糖尿病やホルモンの異常による角膜の脆弱化
なぜ傷が治りにくいのか?
角膜には血管がなく、酸素や栄養は涙や眼房水(目の中の液体)からわずかに供給されています。そのため、特に深い傷の場合、必要な修復成分が十分に届かず、治癒には時間がかかります。また、細菌感染を起こすとさらに悪化し、角膜に穴(穿孔)があいてしまうこともあります。
角膜潰瘍の診断方法とは?
角膜潰瘍は目視でも深い傷であればある程度確認できますが、詳細な診断には専門的な検査が必要です。
フルオレセイン染色検査
角膜の傷を正確に評価するために、フルオレセインという緑色の染色液を目に垂らして観察します。健康な角膜は染色されませんが、傷がある部分は染色液が浸透し、緑色に染まるため、潰瘍の範囲が明確になります。
スリットランプ検査
眼科用の特殊な顕微鏡(スリットランプ)を用いることで、角膜の厚みや潰瘍の深さを詳しく確認できます。特に深い傷がある場合、角膜の層のどこまで損傷が及んでいるかを判断するために重要な検査です。
その他の診断方法
- 細菌培養検査:感染が疑われる場合、角膜の表面をこすって細菌の種類を特定し、適切な抗菌薬を選択する
- 眼圧測定:緑内障の併発を確認するために行うこともある
- 涙液量測定(シルマーティアテスト):ドライアイの影響があるかを調べる
角膜潰瘍は短時間で悪化してしまうことが多いため、早期の診断と治療が非常に重要です。
角膜潰瘍の治療と管理方法
角膜潰瘍の治療は、傷の深さや感染の有無によって異なりますが、基本的には点眼薬の使用とエリザベスカラーの装着が重要になります。
点眼薬による治療
- 抗菌薬の点眼:感染を防ぐ、あるいは感染を治療するために使用する
- 涙液の補充:基本的には角膜の治りを速くするヒアルロン酸点眼を使用する
- 抗炎症剤(ただし、角膜穿孔のリスクがある場合は慎重に使用)
点眼の頻度は1日に複数回が必要となり、数時間ごとに行うことで治療効果が高まります。
エリザベスカラーの装着
犬は目に違和感を覚えると、前足や床に自分の眼をこすりつけてしまい、傷をさらに悪化させることがあります。そのため、治療中はエリザベスカラーの着用が必須です。
特に、通常よりも一回り、あるいは二回り大きいサイズのカラーを使用することで、確実に目を守ることができます。目の傷がなかなか治りにくい場合は、犬自身が隠れて眼を擦っていることも少なくありません。
治りにくい場合や重症例では手術が必要
軽度の角膜潰瘍なら、適切な点眼治療で数日〜1週間程度で回復することが多いですが、以下のような場合は手術が必要になることもあります。- 角膜の傷が深く、治癒が遅い場合
- 角膜穿孔(穴が開いた状態)が起こった場合
- 通常の治療で改善しない慢性的あるいは特殊な潰瘍
手術方法としては、結膜フラップ術(結膜を角膜に縫い付けることで保護する手術)や角膜をあえて傷つける手術などが行われることがあります。
まとめ
犬の角膜潰瘍は、目の表面にできる傷で、血管がないため角膜にとって特に深い傷は治りにくいことが多いです。
診断にはフルオレセイン染色検査やスリットランプ検査が用いられ、早期の適切な治療がとても重要です。点眼薬の使用とエリザベスカラーの着用が基本であり、悪化すると手術が必要になることもあります。犬の目の異常に気づいたら、早めに動物病院で診てもらうことが大切です。
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